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過疎地域に小水力と水道施設、FITと信託で事業維持

2021/04/27 23:46
工藤宗介=技術ライター
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笹川小水力発電所の事業スキーム
(出所:深松組)
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起工式の様子
(出所:深松組)
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 総合建設業者の深松組(仙台市)は、富山県朝日町笹川地区の小水力発電プロジェクトに着手する。4月26日に「笹川小水力発電所」の建設および笹川地区簡易水道改良工事の起工式を開催した。

 笹川地区は人口259人の集落。老朽化した水道施設の更新に約3億円が必要だったが、深刻な過疎化により費用が捻出できず集落の存続が危ぶまれていた。深松組は、1925年に朝日町で水力発電所の建設を主な事業として創業した経緯があったことから、地域を持続的に存続させるための事業スキームを考案した。

 固定価格買取制度(FIT)の売電により、老朽化した水道施設の工事費用を確保する。また、信託方式を採用することで、例え深松組が倒産した場合でも地域住民に安定して水道が供給される事業継続性を確保した。FITと信託方式を組み合わせて地域のインフラを維持する事業スキームは日本初の取り組みという。

 朝日町が水道設備新設費用を補助金で約3割負担し、地域住民および笹川生産森林組合が発電所や配管の用地に協力、北陸銀行が優遇利率を適用するなど、町、住民、銀行の積極的なバックアップにより実現した。水力発電所の管理業務は、地域住民からなる一般社団法人で運営し、地域雇用も創出する。

 笹川小水力発電所は、同地区を流れる「笹川」を地域資源として利用する。総落差は88.86mで、流量に合わせてより費用対効果が優れる縦軸フランシス水車を選定した。

 定格出力は約199kW、予想年間発電量は約1370MWhの見込み。水車は、オーストリアのググラー(GUGLER Water Turbines)製。FITによる売電単価は34円/kWh。売電期間は20年間。発電所の稼働は2023年秋、簡易水道改良工事の完成は2024年度の予定。

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