太陽光で水素製造、ディーゼル発電で廃食油と混焼

2021/04/30 19:00
工藤宗介=技術ライター
実証事業のイメージ
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(出所:4者共同のプレスリリース)
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水素混焼発電設備
水素混焼発電設備
(出所:4者共同のプレスリリース)
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 宮城県富谷市と日立製作所、丸紅、みやぎ生活協同組合の4者は4月28日、同市で実施している「低炭素水素サプライチェーン構築実証」において、停電時でも発電できる水素混焼発電設備を追加設置し、本格運用を開始したと発表した。

 同実証は、みやぎ生協の物流センターの太陽光発電設備で発電した電力を用いて水電解装置で水素を製造。水素吸蔵合金カセットに貯めて、みやぎ生協の既存物流ネットワークを利用して家庭3軒、みやぎ生協店舗、児童クラブに配送し、純水素型燃料電池により電気や熱として利用するもの。

 2017年8月に環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択され、2018年から実証を進めてきた。3年間の成果として、家庭向け利用で目標とした1軒あたり年間0.8tのCO2削減が実証され、全体システムの最適化のデータも得られた。

 今回の追加実証は、これまで以上に水素を利用することを目的としたもの。日立とデンヨー(東京都中央区)が共同開発した水素混焼発電設備をみやぎ生協の物流センターに設置。発電した電気を同センターで自家消費する。2021年度末までに運用・実証の成果をまとめる予定。

 水素混焼発電設備は、水素と廃食油(SVO)や軽油を可変な割合で混合し、ディーゼル発電機で発電する。みやぎ生協の店舗惣菜部門から生じるSVOを活用する。水素混焼率は50%(軽油との熱量換算)、水素流量は350NL/min。定格電圧はAC400V、定格出力は三相交流出力44kW、パワーコンディショナーの定格出力は40kWで、系統連系する。

 同発電設備の設置により、広域災害の発生による系統電力の停電時であっても、貯蔵してある水素とSVOで発電できる。その電力で水電解装置と補機を再起動させ、太陽光発電の電力が利用できる場合は継続して水素製造が可能になり、水素吸蔵合金カセットでの配送も継続できる。

 また、燃料電池で用いられるような高純度な水素は不要で、水素がなくても重油や軽油だけでも発電できる。水素の混焼率を上げることで発電効率が向上する。さらに、SVO利用により廃液を有効活用でき、SVO割合分は固定価格買取制度(FIT)で売電できるなどの経済的な利点も見込まれる。