IEAが脱炭素に向けロードマップ、発電の9割が再エネ

太陽光と風力で70%、太陽光の年間導入量は630GW

2021/05/25 12:43
工藤宗介=技術ライター
発電部門の9割が再エネ、中でも太陽光と風力で7割と想定
発電部門の9割が再エネ、中でも太陽光と風力で7割と想定
(出所:IEA)
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 国際エネルギー機関(IEA)が5月18日、2050年までに世界のエネルギー関連のCO2排出量を正味ゼロにし、世界の気温上昇を1.5度に抑える可能性を高めるためのロードマップを示した特別報告書を発表した。

 2050年の世界のエネルギー需要は現在より約8%減少するが、経済規模は2倍以上、人口は20億人増加すると予測する。発電量の約90%は再エネで賄われており、そのうち風力と太陽光が合計で約70%を占める。一方、化石燃料は、現在の総エネルギー供給量の5分の4近くから5分の1強まで減少する。残った化石燃料は、プラスチックのように炭素が製品に含まれるもの、炭素回収装置を備えた施設、低排出技術の選択肢が乏しい分野で使用されるという。

 再生可能ネルギーについては、2030年までに太陽光発電の年間導入量を630GW、風力発電の年間導入量を390GWにすることを求めている。これは、2020年の水準の4倍にあたり、太陽光発電であれば現在の世界最大級のソーラーパークをほぼ毎日設置することに相当する。また、2030年までの世界のエネルギー効率向上率は年平均4%と、過去20年間の平均値の約3倍になる。

 2035年には内燃機関を搭載した乗用車の新規販売がゼロになり、2040年には世界の電力セクターがネットゼロに到達するとしている。

 現在から2030年までに世界のCO2排出量削減のほとんどは、現在入手可能な技術になる。一方、2050年には、削減量のほぼ半数が現在はまだ実証や試作段階の技術によるものになる。そのため各国政府は、研究開発やクリーンエネルギー技術の実証・普及に対する支出を早急に拡大・最優先にする必要があるという。特に、先進的な電池、水素の電気分解、CO2の直接回収・貯蔵などの分野での進歩が大きな影響力を持つ。

 国際通貨基金との共同分析によると、ネットゼロの実現に向けて、2030年までに年間のエネルギー投資総額が5兆米ドルに急増し、世界のGDP成長率に年間0.4ポイントの追加効果をもたらす。民間および政府の支出が急増することで、エネルギー効率を含むクリーンエネルギー分野やエンジニアリング、製造、建設業界で数百万人規模の雇用が創出される。これにより、2030年の世界GDPは、現在のトレンドと比べて4%増加する見込み。

 同報告書では、IEAのエネルギーモデリングツールと専門知識を基に、2050年ネットゼロを達成するための400以上のマイルストーンを設定した。その中で、「今日から化石燃料の新規供給プロジェクトへの投資を行わないこと」「休止していない石炭発電所の新規建設のための最終投資決定を行わないこと」などを掲げた。