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「燃料電池船」国内導入に向け販促、スイス企業が開発

2021/05/27 14:09
工藤宗介=技術ライター
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ZESSTの航行イメージ
(出所:e5ラボ、Almatech)
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ZESSTの航行イメージ
(出所:e5ラボ、Almatech)
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 電気推進(EV)船の開発および普及促進に取り組むe5ラボ(東京都千代田区)は5月19日、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)産学連携施設イノベーション・パークのスイス企業Almatechとの間で、Almatechが開発した水素燃料EV船「ZESST」の日本市場参入に伴い、プロモーションに関して提携したと発表した。

 ZESST(Zero Emission Speed ShuTtle)は、水素を燃料にした燃料電池システムとリチウムイオン蓄電池を搭載し、電気モーターで走行する。また、2枚のアクティブ制御型格納式水中翼などにより高速巡航と航走波の低減を両立した。巡航速度50km/hで100kmの自律航行が可能とし、乗客数・航行距離あたりのエネルギー消費量は従来のディーゼル船の約5分の1に低減したという。

 船体構造には、植物性繊維を基盤とする新世代の複合材料を採用する。乗客定員50~400人までの4モデルを揃え、基幹システムをモジュール化することで多様なニーズに対応できるという。全長25×全幅8×喫水1.5~3.2m、重量32t(100名乗りの場合)。2023~2024年に第1号艇の組み立て、試験、進水を行う計画。

 日本では、2025年の大阪万博における電気駆動による水上モビリティをターゲットとして、2024年末~2025年初頭に100人乗りを先行導入する予定。合わせて、大阪万博と神戸での乗客の乗降を想定し、水素供給インフラも構築する。将来的には、特に瀬戸内海の離島における水上モビリティおよび再エネ地産地消のエコシステム構築が期待される。

 e5ラボは、旭タンカー、エクセノヤマミズ、商船三井、三菱商事の4社が出資して2019年に設立した。国内で唯一となる電気駆動による船舶の企画から開発までを一気通貫でサービス提供できるという。またトヨタ自動車の第2世代燃料電池を搭載したタグボートを開発するなど、電気駆動と燃料電池の両方の知見とコネクションを持つ。

 今回のプロモーションに関する提携では、これらの実績が評価されたという。まずは販売代理店の手前となるプロモーション代理店として活動し、ZESSTのプロモーションおよび導入意思をヒアリングする。具体的な購入・運航希望者が出てくれば、販売代理店や輸入、各種許認可支援、アフターサポート、サプライインフラ構築支援につなげていく計画。

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