ニュース

フレキシブルCIS系太陽電池、世界最高の変換効率18.6%

2021/06/03 21:32
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
軽量フレキシブルCIS系太陽電池ミニモジュール
(出所:産総研)
クリックすると拡大した画像が開きます
性能測定結果
(出所:産総研)
クリックすると拡大した画像が開きます
薄くフレキシブルなのが特徴
(出所:産総研)
クリックすると拡大した画像が開きます

 産業技術総合研究所(産総研)は5月31日、トヨタ自動車・未来創生センターと共同で、軽量でフレキシブルなCIS系太陽電池を開発し、世界最高となる光電変換効率18.6%を達成したと発表した。17のセル(発電素子)による集積型構造で受光面積68.0m2の小型パネル(ミニモジュール)を試作した。

 CIS携帯電電池モジュールは、すでに国内外で19%以上の変換効率が達成され、また有機-無機ハイブリッドペロブスカイト太陽電池でも18%前後の効率が報告されている。しかし、これらはガラス基板による性能であり、これまで柔軟なフィルム基板では欧州の研究機関が報告した16.9%に留まっていた。

 今回、CIS系太陽電池の作製に必要なアルカリ金属添加制御技術の改良により、光吸収層である多結晶CIS系薄膜およびその表面・界面の品質を向上させた。産総研が開発し2008年に発表したASTL法を使用し、光吸収層の成膜後にもアルカリ金属の添加を行った。

 ASTL法は、裏面電極層を形成する前に、アルカリ金属供給層として数十nm~数mmのケイ酸塩ガラス薄膜(ASTL)をプリカーサ層として形成し、この層の成膜条件制御によりCIS系光吸収層に取り込まれるアルカリ金属量を制御する。

 作成した17セル集積型CIS系太陽電池ミニモジュールは、変換効率18.6%、開放電圧12.7V(1セルあたり0.747V)、短絡電流密度34.6mA/cm2、曲線因子72.0%だった。今後は、まだ数値の低い曲線因子の改善により更なる高性能化が期待できる。

 CIS系太陽電池に関するNEDO委託事業では、2022年度末目標に30cm角以上のモジュールで変換効率18%、製造コスト35円/W以下の見通しを得ることなどを挙げており、今後も企業や大学と連携して研究開発を進めていく。また、CIS系光吸収層とp-n接合界面の品質向上などの要素技術を更に改善し、より高い光電変換効率の実現を目指す。

  • 記事ランキング