千葉県木更津市にある複合施設に再生可能エネルギーと蓄電池によるマイクログリッドが稼働した。災害時には自営線を使い系統から自立して運用する。
既設の太陽光発電設備に加えて、新たに出力294kWの太陽光パネルと米テスラ(Tesla)製の産業用蓄電池「Powerpack」3台を制御システムで運用する。既設を含めた太陽光パネルの合計出力は656.6kW、蓄電池3台の合計出力は333kW、容量は669kWhになる。
KURKKU FIELDS(千葉県木更津市)が運営するサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」が4月19日に発表した。
複数施設と太陽光パネル、蓄電池をつなぐ約1kmの自営線を敷設した。天候の良い日は施設内で使用する電力の自給自足を目指し、悪天候や夜間時は蓄電池や系統電力を活用する。年間の自家消費率は約80%を想定し、約900万円の電気代と約191.1tのCO2排出量を削減できる見込み。
災害など系統停電時は、遮断器で送配電網から切り離して蓄電池を自立運転させることで、指定された重要負荷での電力が約1~2日間利用できる。日中太陽が出ているときは、太陽光からの電力も利用できる。2月22日から運用を開始している。
KURKKU FIELDSは、農・食・アートなどをテーマとした複合施設で、農場、原っぱやビオトープといった自然空間、宿泊施設などを備える。2019年9月の台風15号による11日間の停電を経験し、長期停電時でも家畜のいる牛舎などへの電力の安定供給や、地域住民向けの避難所として電力を供給できる設備の導入を検討してきた。
今回のマイクログリッド構築では、NDSが詳細設計・施工および施工管理を担当した。自然電力が全体概要設計および自社開発の最適制御システムの設計・導入・運用を担当し、またTesla Powerpack認定施工会社として蓄電池設備を納入・設置した。
マイクログリッド構築に伴い、4月19日に木更津市と「災害時における応急活動の協力に関する協定」を締結した。災害などで電力会社からの電力供給が断たれた際に、地域住民に対してトイレ、シャワー、水道、携帯電話などの充電用電源などを提供する。さらに同施設で生産・加工した食品などを提供するなど、施設の一部を地域住民向けの避難所および物資集積場所などに活用していく。