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英で「バイオマス発電+CCS」、三菱重工のCO2回収技術で

世界初の商用「ネガティブ・エミッション」実現へ

2021/06/11 22:27
工藤宗介=技術ライター
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英国のバイオマス発電所「Drax Power Station」
英国のバイオマス発電所「Drax Power Station」
(出所:Drax Group)
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MHIENGのCO2回収小型モバイル装置
MHIENGのCO2回収小型モバイル装置
(出所:Drax Group)
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 三菱重工業の100%子会社である三菱重工エンジニアリング(MHIENG、横浜市)と英国の大手電力会社Drax Groupは6月10日、Draxが英国ノース・ヨークシャー州に保有するバイオマス発電所からCO2を回収するBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトにおいて、MHIENGのCO2回収技術を長期使用することで合意したと発表した。

 バイオマス発電と排ガスからのCO2回収技術を組みわせることで、商用規模における世界初のネガティブ・エミッション(CO2排出量が正味マイナス)実現を目指す。Draxは2030年までにカーボンネガティブ企業になることを目標に掲げており、MHIENGとDraxは2020年秋からバイオマス発電所でのCO2回収パイロット試験を実施している。

 今回導入するCO2回収技術「Advanced KM CDR Process」は、MHIENGと関西電力が共同開発したもの。アミン吸収液に、従来品から技術改良を加えた「KS-21」を採用。これまで商用CO2回収プラントで用いられてきた「KS-1」と比べて再生効率に優れ劣化も少ないことから、運用コスト改善など経済性向上も期待される。KS-21の商用における実用化第1号となる

 BECCSユニットは、出力660MWのバイオマス発電施設2系統(合計1320MW)に導入し、1日あたり2.5万t、年間800万t以上のCO2排出量を削減可能。MHIENGは、CO2回収ライセンスの供与、プロセス設計およびEPC(設計・調達・施工)支援、吸収液の供給などを行う。2023年中に建設を開始し、早ければ2027年にも稼働する予定。

 三菱重工は、7月1日付でMitsubishi Heavy Industries EMEA(MHI-EMEA、欧州・中東・アフリカ三菱重工業)のロンドン本社に脱炭素事業の拠点「DBD(Decarbonisation Business Department)」を設置。英国におけるCCSサプライチェーンの強化を検討し、英国をはじめ欧州・中東・アフリカ地域での脱炭素化プロジェクトに貢献していくという。

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