ニュース

有田川町でバイオマス発電所、地域未利用材を活用、排熱利用も

2021/06/22 21:42
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
木質バイオマス発電所の完成予想図
木質バイオマス発電所の完成予想図
(出所:シン・エナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます
地鎮祭の様子
地鎮祭の様子
(出所:シン・エナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます
事業スキーム
事業スキーム
(出所:シン・エナジー)
クリックすると拡大した画像が開きます

 シン・エナジー(神戸市)は、和歌山県有田川町において、地元の林業企業体と共同で小規模の木質バイオマス発電所を建設する。6月15日に地鎮祭を開催した。6月に着工、2022年5月に運転を開始する予定。

 定格出力は900kW、年間発電量は一般家庭役2300世帯分に相当する約6700kWhの見込み。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)に基づき関西電力送配電へ全量売電する予定。燃料は100%和歌山県産、特に有田川町周辺産の未利用材を使用する。年間で約1万tの木材をチップに加工して使用する。

 発電時の排熱は、併設するチップ製造工場でチップの乾燥に利用するほか、隣接する温浴施設に供給する。このほかにも、余剰熱を薪の乾燥に使用したり、発電の副産物である炭(チャー)を農業で利用したりする。また、余剰生産するチップを近隣工場などでバイオマス燃料として利用することを検討する。

 発電設備は、オーストリア・ウルバス(URBAS)製の熱電併給装置(定格出力450kW×2基)を採用する。発電効率は31%、排熱利用を含めた総合エネルギー熱効率は最大82%になる。

 事業主体は、シン・エナジーおよび地元企業の原見林業、川口建設が出資する「有田川バイオマス株式会社」。出資比率は地元企業が60%、地域外(シン・エナジー)が40%で、地域主導の意思決定を可能にする。さらに、クラウドファンディングで地域住民から出資を募り、利益の一部を出資者に還元する仕組みをつくる。

 和歌山県は、全国8位となる森林率76%の豊富な森林資源を持つ。しかし、急峻な地形により伐採が容易でないこと、木材の買取価格が年々下落してきたなどの理由により、近年は林業が低迷しつつあり、有田川町でも林業就業者が全盛期の10分の1以下になっている。

 その一方で「有田川エコプロジェクト」に取り組み、豊富な自然資源を生かして風力・太陽光・小水力といった再生可能エネルギーの導入を推進している。今回のバイオマス発電事業においても、地元未利用材の活用や熱電併給などにより地域資源を循環利用しつつ林業の振興を目指す。

  • 記事ランキング