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木くずや藻類からジェット燃料、JALとANAの定期便に利用

2021/06/22 22:09
工藤宗介=技術ライター
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木くずを原料としたバイオジェット燃料の製造プロレス
(出所:三菱パワー)
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パイロットプラントおよびバイオマスガス化設備
(出所:三菱パワー)
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微細藻類を原料としたバイオジェット燃料の製造プロセス
(出所:IHI)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月18日、委託事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、それぞれ木くずや微細藻類を原料に開発されたバイオジェット燃料を、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の東京国際空港(羽田空港)6月17日出発の定期便に供給したと発表した。

 同事業は、木くずを原料とした燃料の生産技術開発に取り組む三菱パワー、JERA、東洋エンジニアリング、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、微細藻類を原料とした燃料の生産技術開発を進めるIHIに委託したもの。いずれの燃料もSAF(持続可能な代替航空燃料)の国際規格「ASTM D7566」への適合を確認した。

 三菱パワー、JERA、東洋エンジニアリング、JAXAの4者は、固体の木質セルロースをガス化した後に液体炭化水素に転換した。具体的に葉ガス化FT合成技術による燃料を生産する技術に取り組んでいる。JERAの新名古屋火力発電所構内に建設したパイロットプラントに原料に木くずを使用し、SAFを一貫製造する実証試験を実施した。

 JERAが原料調達とパイロットプラントの運転、三菱パワーが噴流床ガス化技術を用いて原料をガス化、東洋エンジニアリングが生成ガスからの液体燃料の合成・蒸留と石油系ジェット燃料との混合以後のサプライチェーン構築、JAXAが製造されたSAFの燃焼における性能特性を評価した。「ASTM D7566 Annex1」に適合する。

 IHIは、光合成により高速増殖する微細藻類(高速増殖型ボツリオコッカスHGBb)を大量に培養し、微細藻類が生成する藻油を精製する水素化精製技術を開発している。鹿児島市の既存施設とタイ・サラブリ県に新設したパイロット屋外培養施設を使い,大規模培養からSAF製造までの一貫製造技術の確立およびサプライチェーン構築に取り組んだ。「ASTM D7566 Annex7」に適合する。

 定期便へのSAF供給量は、日本空港515便(新千歳空港行き、エアバスA350-900、使用燃料約8700L)が、木質バイオマス原料ASFを2195L(25%)、うち純バイオジェット燃料を283L(3%)。微細藻類原料SAFを938L(11%)、うち純バイオジェット燃料を1L(0.01%)。全日本空輸031便(大阪国際空港行き、ボーイング787-8、使用燃料約5000L)が、微細藻類原料SAFを988L(20%)、うち純バイオジェット燃料を38L(0.8%)。

 引き続きNEDOは、SAFの大規模な安定製造技術や製造コスト低減に向けた効率的な製造プロセスの確立を目指して、研究開発事業を実施していく。

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