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JAXAとホンダ、宇宙での循環システムを検討、太陽光で水電解

2021/06/29 13:59
工藤宗介=技術ライター
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循環型再生エネルギーシステムの活用イメージ
循環型再生エネルギーシステムの活用イメージ
(出所:JAXA、本田技術研究所)
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循環型再生エネルギーシステムの概念図
循環型再生エネルギーシステムの概念図
(出所:本田技術研究所)
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JAXAによる日本の国際宇宙探査ロードマップ
JAXAによる日本の国際宇宙探査ロードマップ
(出所:JAXA)
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所(埼玉県和光市)は、酸素や水素、電気を有人拠点や移動用車両に供給するための循環型再生エネルギーシステムの実現性について、共同で検討する。6月14日に発表した。人が長期間にわたって宇宙で滞在・活動するための環境構築を目指す。

 宇宙で人が生活するには水や食料のほか、呼吸のための酸素、燃料となる水素、諸活動のための電気が必要になる。それらを宇宙で入手するには、太陽光から水を電気分解して酸素と水素を製造する高圧水電解システムと、酸素と水素から電気と水を発生させる燃料電池システムを組み合わせた「循環型再生エネルギーシステム」を構築することが解決策のひとつとなる。

 JAXAと本田技術研究所は、2000年11月に3年間(2020~2022年度)の共同研究協定を締結し、本田技術研究所が持つ高圧水電解技術と燃料電池技術を活用した、月周回有人拠点(Gateway)と月面での循環型再生エネルギーシステムに関する研究を進めている。

 JAXAは、これまで検討してきたGatewayにおけるシナリオや要求に基づき検討条件を設定する。本田技術研究所は、JAXAのミッションやシナリオを実現するための技術を検討する。2021年度は、2020年度の研究で識別した循環型再生エネルギーシステムの要素技術に関する課題に対して、試作を評価しながら実現性を検討する。この結果は、2022年度に計画するシステムとしての成立性の検討につなげていく予定。

 日本政府は2019年10月、米国提案による国際宇宙プロジェクト「アルテミス計画」に参画することを決定した。この方針に則りJAXAは、火星なども視野に入れたGatewayへの日本の得意とする技術・機器の提供、Gatewayへの新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)での物資補給を目指している。また月面では、2022年度に小型月着陸実証機(SLIM)、2023年度に月極域探査機を打ち上げ、2020年代後半以降の月面探査を支える有人与圧ローバーの研究などを進めている。

 本田技術研究所は、水素技術の研究開発に取り組んでおり、2002年には世界で初めて燃料電池自動車のリース販売を開始した。また、高圧水電解システムを使ったスマート水素ステーションの開発・設置も行っている。同社の高圧水電解システムは、水素を圧縮するコンプレッサーが不要なため、コンパクト・軽量で宇宙輸送の課題である積載容量・質量の低減化に貢献するという。

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