水素

水素の大規模調達を可能にする「現実解」(page 2)

MCH利用を推進する千代田化工が海外戦略の一端示す

2021/06/30 17:00
山口 健=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ 
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1万時間の長時間連続運転を確認

MCHを使った大規模水素輸送を可能にしたのは、どのような技術ですか。

森本 千代田化工は1948年の創業以来、石油・石油化学産業のプロセスや環境保全に関わる様々な触媒を開発してきました。この流れから2002年にMCH脱水素触媒の研究開発を開始しました。そして、この触媒の研究開発に着手してから約20年、昨年、実証事業を無事に終えることができました。

 この脱水素触媒を開発した際の最大の技術的課題は、長時間の連続運転でした。最終的に2008年にこの新しい触媒を実験室規模で開発することに成功し、最適な性能を維持しながら、1万2000時間の連続運転を実現しました(図3)。

図3●商用使用可能な脱水素触媒開発に成功
図3●商用使用可能な脱水素触媒開発に成功
(出所:千代田化工建設、2021 ICCHEI、2021年5月28日)
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 触媒性能の実験室規模における確認に成功した後、2013 年にパイロット・プラントにスケールアップし、トルエンの水素化工程とMCHの脱水素化工程からなる 50 Nm3/h(年間約35t相当)の模擬水素サプライチェーンを実証しました。約1万時間の連続運転を行い、商用レベルの運転で安定に使えることを確認しました(図4)。

図4●システムとしてMCHの基本技術を確立
図4●システムとしてMCHの基本技術を確立
MCHを利用した水素の輸送技術を千代田化工は「SPERA水素技術」と呼ぶ。処理能力は50 Nm3/h(年間約35t相当)、運転稼働時間は延べ約1万時間(2013~14年)に達した。(出所:千代田化工建設、2021 ICCHEI、2021年5月28日)
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 また、この段階で各種運転モードにおけるエンジニアリング・データを採取して、商用化に備えています。この段階で、「技術実証は完了」 と判断し、2015~20年の事業実証へと進みました。

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