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ナウル共和国で海洋温度差発電を検討、佐賀大の提案を評価

2021/07/16 19:48
工藤宗介=技術ライター
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佐賀大学海洋エネルギー研究センターのホームページ
佐賀大学海洋エネルギー研究センターのホームページ
(出所:佐賀大学海洋エネルギー研究センター)
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 佐賀大学の研究する海洋温度差発電が国際公募で選ばれた。一般社団法人・海外環境協力センター(OECC)と佐賀大学海洋エネルギー研究センターは6月28日、「ナウル共和国における海洋温度差発電等の導入に関するPre-FS(プレ・フィジビリティースタディ)」プロジェクトに採択されたと発表した。

 CTCN(気候技術センター・ネットワーク)が2020年に国際公募したもので、CTCNのプロジェクトへの採択は、日本の再生可能エネルギー技術(グリーンガス案件を除く)では初めてとなる。

 海洋温度差発電(OTEC)は、海洋の表層水を温熱源、深層水を冷熱源として、その温度差を利用して発電する技術。類似の発電技術として地熱バイナリー発電などが挙げられる。日本では50年以上にわたって海洋温度差発電技術の研究開発が続けられており、今回その実績が評価された。

 Pre-FSでは、ナウル共和国で最も適切な海洋エネルギー技術を評価する。波力や潮力など他の海洋エネルギーも評価対象とするが、最も可能性の高い海洋温度差発電に焦点を当てているという。この調査において、ナウル政府との話し合いを踏まえてプラントサイズ(想定発電量)を決定する。

 5月にナウル政府、CTCN、OECC、佐賀大学海洋エネルギー研究センターなどによるオンライン会議が開催され、緑の気候基金(GCF)の支援による海洋温度差発電などの実用化を目指すことが合意された。また、5月から東京大学もプロジェクトに参画し、ナウル共和国における海洋温度差発電などのポテンシャル解析・評価を実施中。

 ナウル共和国は、太平洋南西部に位置する人口約1万3000人の島嶼国。同国では、現在の電力供給はほぼ100%ディーゼル発電によるもので、2050年までに再生可能エネルギーで100%を賄うことを目指している。太陽光発電などの導入も進んでいるが、変動性再エネであること、島嶼国のため設置場所が限られるなどの理由により、海洋温度差発電に期待が寄せられているという。

 CTCNは、気候変動に係る技術移転を促進するための実施機関として、2010年のCOP16で設立が決定され、2013年からサービス提供を開始した。開発途上国からの要望に基づき、各国のニーズに沿って支援する。主に先進国および地球環境ファシリティ(GEF)から約5100万米ドルが拠出されており、うち日本政府から1197万3480ドル(2013~2019年度)が拠出されている。

 日本の海洋温度差発電技術の研究開発では、1981年に東京電力がナウル共和国で出力100kWの実証プラントを設置し送電を開始したが、当時の技術では商用に至らず1983年に実証を終了した。2013年に沖縄県事業で設置した久米島における海洋温度差発電実証試験設備が発電に成功、日本の海洋エネルギーの中で初めて系統連系(沖縄電力)にも接続され、実用化の可能性を示した。

 佐賀大学は、国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)と独立行政法人・国際協力機構(JICA)の2016年度「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」に採択され、マレーシアにおける新しい海洋温度差発電(H-OTEC)の実用化および若手研究者の人材育成を実施している。同事業では、2021年度中に日本で製作した海洋温度差発電の研究設備をマレーシアに輸出する予定。

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