水素

「水素タイル」を張り合わせ、地域社会を脱炭素化(page 3)

経産省 関東経済産業局長 濱野幸一氏に聞く

2021/07/19 15:00
山口 健=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
印刷用ページ

十分な水素需要で採算性を確保

「地域における水素アイディア検討会」を通じて、どのような知見が得られましたか。

濱野 検討会は、参加自治体に対して、地域の特性や課題を踏まえて、今後、地域において可能性が高い分野の水素利用のアイデアを検討しました。そのアイデアに対して大学や大手メーカーなどの外部有識者から助言をもらい、具体的な地域における水素の利用方法を検討しました。

 一番の成果は、自治体が、地域における水素利用を積極的に推進する意識が大きく高まったことです。実際、一部の自治体においては検討会の終了後に、関東経産局とともにアイデアの実現に向けて検討しているところです。

 具体的には、栃木県や宇都宮市とともに、宇都宮における水素ステーションの整備に向けて、都市交通や物流分野などの水素利用を検討し始めています。今後、近隣の鹿沼市、日光市にも声を掛けて、広域の水素需要の創出を目指します(図4)。

図4●栃木県における水素需要創出に向けた取り組みについて
(出所:関東経済産業局)
クリックすると拡大した画像が開きます

 また、外部有識者より、水素ステーションなどの供給施設を建設するためには、事業採算性が担保されるだけの水素需要量を確保することが重要との意見がありました。そのため、地域における水素社会を実現するためには、水素の需給バランスを適切に取り、サプライチェーン全体を一気に立ち上げることが必要と認識しました。

 一方、外部有識者と自治体の双方から、現状は採算性が確保できる規模のサプライチェーンを単一の企業・自治体のみで立ち上げることは困難という意見も多く出ました。

 これらの議論を踏まえて、地域における水素利用を促進するためには、官民が連携して取り組むことが重要と理解しました。そのため、まずは自治体が旗振り役となって、水素を供給する企業と活用する企業を集結させ、一定規模の水素サプライチェーンを構築することが効果的と考えています。

 関東経産局では、こうした地域における水素の需要と供給のバランスを成り立たせた採算性成立モデルの最小単位を「水素タイル」と定義しました。今後、自治体との連携を強化していくことで、「水素タイル」を次々と組み合わせていき、より広域でのサプライチェーン構築を展開していければと考えています(図5)。

図5●「水素タイル」について
(出所:関東経済産業局)
クリックすると拡大した画像が開きます

 なお、地域における水素需要については、各地域の特性や課題に応じて、公共交通、物流、農林水産業、建設業などの需要を計画的に作り出し、需給を成り立たせる必要があります。

  • 記事ランキング