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地球の気温上昇は「加速化」、IPCCが報告書

この10年の気温上昇幅は1度を超える

2021/08/12 15:55
工藤宗介=技術ライター
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世界平均気温(年平均)の変化
(出所:環境省リリース)
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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最新の報告書内容が公開され、ここ10年間の気温上昇は、その前の10年に比べて加速的に温暖化していることが示された。

 IPCC第54回総会および同パネル第1作業部会(WG1)第14回会合が、7月26日~8月6日にオンラインで開催された。IPCC第6次評価報告書(AR6)WG1報告書(自然科学的根拠)(AR6/WG1報告書)の政策決定者向け要約(SPM)が承認され、8月9日に公表された。

 AR6/WG1報告書SPMによると、人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がなく、大気・海洋・氷水圏および生物圏において広範囲かつ急速な変化が現れていると指摘する。工業化前と比べて世界平均気温は、2001~20年の20年間で約0.99℃上昇、2011~20年の10年間では約1.09℃上昇した。

 世界平均気温は、同報告書で考慮した全ての排出シナリオで、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける見込み。向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に地球温暖化は1.5℃および2.0℃を超えると予測する。また、陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で、北極圏では世界平均の約2倍の速度で気温が上昇しているという。

 このほかにも、人為起源の気候変動が主要な駆動要因となり、陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加。世界規模では、地球温暖化が1℃進行するごとに極端な日降水量の強度が約7%上昇している。強い熱帯性低気圧の発生割合も過去40年で増加しており、北西太平洋の熱帯低気圧は強度のピークに達する緯度が北方に変移しているという。

 自然科学的見地から、人為的な地球温暖化を特定のレベルに制限するには、CO2の累積排出量を制限し、少なくともCO2正味ゼロ排出を達成し、他の温室効果ガスも大幅に削減する必要がある。メタンの大幅な迅速かつ持続的な削減は、エーロゾル(空気中に漂う微粒子)による汚染の現象に伴う温暖化効果を抑制し、大気質も改善すると見られている。

 AR6/WG1報告書のSPM承認は、2013年の第5次評価報告書(AR5)WG1報告書以来8年ぶりとなる。このほかにも同会合では、同報告書の本体や付録などが受諾された。報告書の本体などは、総会での議論を踏まえた編集作業を経て、12月頃に公表される予定。

 同会合には、各国政府の代表、世界気象機関(WMO)や国連環境計画(UNEP)などの国際機関などから300人以上が出席。日本からは外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、気象庁、環境省などから計21人が出席した。

 同報告書の取りまとめにあたって、関係省庁の連携によりIPCC国内連絡会を組織して活動を支援した。日本の研究成果論文が数多く引用されているほか、日本から10人の科学者が執筆に参加した。また、日本政府も、政府査読や総会における議論などで積極的に貢献したとしている。

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