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ENEOS、ブルネイからMCHで水素輸送、まず「グレー」、将来「グリーン」に

2021/08/16 18:39
工藤宗介=技術ライター
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実証の事業フロー
実証の事業フロー
(出所:ENEOS)
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ブルネイに設置した水素化プラント
ブルネイに設置した水素化プラント
(出所:千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船、AHEADの共同リリース)
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MCHによる水素サプライチェーン
MCHによる水素サプライチェーン
(出所:千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船、AHEADの共同リリース)
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 ENEOSは8月10日、同社製油所の石油精製装置を用いて、水素キャリアの有機ハイドライド・メチルシクロヘキサン(MCH)から水素を取り出し(脱水素)利用する実証を開始すると発表した。また、同実証で使用するMCHの調達について、千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船が共同設立した次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)と売買基本契約を締結した。

 同実証では、ブルネイ・ダルサラームで製造する水素からMCHを生成し、ENEOSの製油所まで輸送する。ENEOSは、海外で製造されたMCHの受け入れから、石油精製の既存装置を活用した水素の製造・利用までの一連のプロセスを検証する。

 実証候補地は、川崎製油所、和歌山製油所、水島製油所の3カ所。脱水素機能を持つ石油精製装置にMCHを投入し、装置稼働への影響を把握することでMCH使用可能量などを検討する。生成した水素は石油製品の脱硫などに利用する。

 水素とトルエンから生成されるMCHは、常温・常圧下では液体の状態であり、貯蔵や輸送に石油および石油化学品向けの既存インフラを活用できる。AHEADでは、千代田化工の「有機ケミカルハイドライド法」で生成したMCHをブルネイから輸送する実証実験を2020年に実施している。

 2020年の実証では、ISOタンクコンテナ(1基あたり容量24kl)を使用した。今回のENEOSへのMCH供給では、将来の商用化を見据えてケミカルタンカー(1万tクラス混載)を使用し、より大規模に輸送する。

 今回の実証では化石燃料由来の「グレー水素」を利用するが、将来的には再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」に置き換えることでCO2排出量削減に貢献できるとしている。実証期間は2023年度末までの予定。

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