水素

内燃機関「カーボンゼロ」へ、期待の再エネ合成燃料(page 3)

「2030年までに量産技術確立は必達目標」、ENEOS執行役員・藤山氏に聞く

2021/08/17 20:00
山口健=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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2030年以降早期に「日量1万バレル」

具体的な実用化に向けたロードマップはどうなっていますか。

藤山 2020年時点では2022年から小規模な日量1バレル(約159l=リットル)程度の試験生産を始めることを検討していましたが、2025年からと考えていた中規模な実証試験を先行させます。その結果を踏まえて、追加で大規模実証試験を行ない、2030年までに量産技術として確立したいと考えています。

 2030年以降、出来るだけ早い時期に確立させた技術を使って日量1万バレル程度の量産設備を稼働させ、商用化していく予定です。

その先、2040年、2050年の見通しも教えて下さい。

藤山 2040年ぐらいでの自立商用化を目指しています。商用化は、その時点での合成燃料の原料(CO2フリー水素とCO2)価格や低炭素価値を含めた経済性、原料調達方法・調達量などによって、製造規模や製造拠点が決まると考えています。

 2040年ごろのタイミングでは、石油製品の生産量やガソリンスタンドの販売量は現在の状況とは異なることが想定されます。仮に需要が半減し、それに比例して当社の生産量も半減しているとすれば、再エネ合成燃料の日量1万バレルという量は全体の1.1%に当たります。

 水素に関しては、当面の開発段階では化石燃料由来の水素、もしくは国内の再エネ電力を使った水の電気分解によって調達します。ただこの方法ではコストが高いので、将来的には海外の安い再エネ電力を使って作った水素の大規模輸入に切り替えて行きたいと考えています(図3)。当社では、大規模に水素を海上輸送する方式として、液体水素方式とMCH(メチルシクロヘキサン)方式の開発に取り組んでいます。

図3●CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向けた取り組み
図3●CO2フリー水素サプライチェーンの構築に向けた取り組み
液体水素方式とMCH(メチルシクロヘキサン)方式の2つの大規模な水素の海上輸送方式を開発している。MCH方式では、トルエンと水から直接MCHを製造する技術を開発し、関連設備の大規模化に取り組んでいる(出所:ENEOS)
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 CO2源は、製油所から出る排ガスを使います。こうすることで、合成燃料の生産に際して、新たにCO2を増やすことはありません。その先、2050年のカーボンニュートラルに向かっては、大気からCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)のような革新的なCO2回収技術等についても、調査・検討を進めています。

 製油プラントは大型化した方がコスト的に優位になります。安い水素源、CO2源が得られる場合は、海外での製造も選択肢の1つとして検討しています。

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