水素

内燃機関「カーボンゼロ」へ、期待の再エネ合成燃料(page 4)

「2030年までに量産技術確立は必達目標」、ENEOS執行役員・藤山氏に聞く

2021/08/17 20:00
山口健=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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「収率80%」の触媒を目指す

再エネ合成燃料は低コスト化が課題です。

藤山 コスト削減に向けて、「高効率触媒の開発」と「製造プロセスの改良」に取り組んでいます。

 触媒開発に関しては、これまで培ってきた技術に加えて、MI(マテリアルズインフォマティックス)技術を組み合わせて推進しています(図4)。

図4●再エネ合成燃料商用化への課題解決
図4●再エネ合成燃料商用化への課題解決
合成燃料の商用化には低コスト化が課題であり、高効率触媒の開発と製造プロセスの改良に取り組んでいる。触媒開発については、これまでに培った技術とMI(マテリアルズインフォマティックス)技術を組み合わせて推進する。既存の触媒に対して約4倍の収率となる触媒の開発を目指す(出所:ENEOS)
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 既存の触媒における再エネ合成燃料の収率は約20%です。開発中の触媒の収率は約65%で、最終的には80%程度の収率を目指しています(図5)。収率80%の触媒はまず実験室レベルで完成させ、これを使って中規模で実証し、スケールアップする予定です。

図5●触媒評価装置(左)と反応器評価装置(右)
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図5●触媒評価装置(左)と反応器評価装置(右)
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図5●触媒評価装置(左)と反応器評価装置(右)
既存の触媒の再エネ合成燃料の収率は約20%。開発中の触媒の収率は約65%で、最終的には80%程度の収率を目指している。収率80%の触媒はまず実験室レベルで完成させ、中規模な実証試験でスケールアップする予定(出所:ENEOS)

 MI技術に関しては、Preferred Networks社と協業して超高速AI分子シミュレータの開発に成功しました。例えば原子数が128個の場合、従来法では反応プロセスの計算に1時間掛かったものが、0.1秒と3万倍高速になりました。実用的な触媒を開発する場合は、原子数として1万個程度の規模が必要になりますが、これは2秒で計算できました。従来法では、原子数128個、約3000個などの実測した計算時間から外挿したところ、1年半くらい掛かることがわかりました。2000万倍も高速ということになります。

 これに加えて、プラント内における熱のマネジメントや、副生ガスを有効利用するプロセス設計などが重要だと考えています。例えば「逆シフト反応」は吸熱反応のため、その先の「FT反応」の発熱反応と熱のやり取りをすることは可能と考えており、技術面から検討しています。このような技術も取り入れて、プロセス全体の更なる効率化を目指しています。

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