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CO2を循環させる地熱発電の新技術、大成など開発

2021/08/24 21:13
工藤宗介=技術ライター
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CO2地熱発電の概念図
CO2地熱発電の概念図
(出所:大成建設と地熱技術開発の共同リリース)
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 大成建設と地熱技術開発(東京都中央区)は8月23日、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の公募による地熱発電技術研究開発事業「カーボンリサイクルCO2地熱発電技術」に採択されたと発表した。実施期間は、2021年度から2025年度までの5年間の予定。

 高温状態にあるが熱水量が不足するため従来技術では地熱発電に適用できなかった地熱貯留層中にCO2を圧入し、高温になったCO2を回収することで地熱発電を行う。両社は、CO2地熱発電のための全体システム設計、CO2を破砕流体とした人工地熱貯留層造成技術、地熱貯留層内でのCO2流体挙動把握技術の開発を目指す。

 これまでの研究によると、高温高圧下でのCO2の物性は高効率に地熱資源を採熱するのに有利と考えられている。また、圧入されたCO2の一部は、地熱貯留層中に炭酸塩鉱物などとして固定されるため、カーボンニュートラルへの貢献も期待される。

 大成建設は、CO2回収・貯留(CCS)において、地盤に圧入した後のCO2の挙動(流れや化学反応など)を数値解析する技術を開発し、国内外のCCSの研究開発や実証事業に活用されてきた実績がある。今回の事業では、この解析技術を用いて地熱貯留層内でのCO2流体挙動把握技術の開発を主に担当する。

 地熱技術開発は、地熱発電で水を地下に注入・循環することで地熱流体の生産を維持・増産する技術(EGS)に関する技術開発を行ってきた。また、CO2の挙動を連続観測する坑井内圧力温度観測装置を国内のCCS実証実験場に提供するとともにCO2を地熱貯留層に注入する場合における岩石・水との反応挙動の数値モデルを解析している。今回の事業では、全体システム設計と地熱貯留層内でのCO2人工貯留槽造成技術の開発を主に担当する。

 日本は、世界第3位の地熱資源量(2347万kW)を誇り、地熱発電は昼夜問わず安定的に発電可能とされる。一方、地熱発電は調査から事業化までに相当な時間を要し、さらに地層中が十分に高温であることが確認されても熱水量不足により事業化に至らないなどの課題があり、国内の総発電量に対する地熱発電の割合は0.3%にとどまっている。地熱資源の活用を加速するには、熱水に代わる新たな地熱発電技術の開発が求められているという。

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