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再提出の「太陽光パネル税」、議会で継続審査、専門家ヒアリングへ

議会改選を経て、美作市が条例案を一部変更して提出

2021/09/23 11:51
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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美作市は、「太陽光パネル新税」の条例案を再度、議会に提出
美作市は、「太陽光パネル新税」の条例案を再度、議会に提出
(出所:日経BP)
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 岡山県美作市の市議会は、9月22日に定例会本会議を開き、美作市が導入を目指す「事業用太陽光パネル税」を創設する条例案を審議し、「継続審査」とする提案に全会一致で同意した。

 同法案は、今年3月の定例会で否決されたが、議会の改選を経て、市側が一部、法案を変更した上で再提出したもの。今月14日に開かれた市議会の総務委員会で事前に審議され、専門家の意見を聞いたうえで再度、審議するとの結論になっていた。定例会本会議では、こうした総務委員会の提案を追認した。

 パネル新税の条例案に関しては、当初、市は2020年度からの導入を目指し、2019年6月の定例議会に法案を提出した。だが、納税義務者への説明が不十分などの課題が指摘され、その後の議会でも採決に至らず、継続審査が続き、議会改選を控えた今年3月の定例会本会議で否決された経緯がある。その際の否決された主な理由は、納税義務者への説明が不十分とされたからだった。

 今回、市は、納税義務者への電話による説明とアンケートにより、十分な説明プロセスを経たとして、改選後の議会に再提出した。その際、法案の一部を修正し、課税対象外となる低圧事業用太陽光(連系出力50kW未満)の範囲を、元々田んぼだった用地を利用した案件という要件から、災害リスクの少ない平坦な用地に立地する案件という要件に変えた。

 「太陽光パネル税」は、地方税法に基づく法定外目的税で、事業用太陽光発電所のパネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。具体的には、パネル1m2当たり50円を5年間、課税する。課税対象は、出力10kW以上の野立てタイプの事業用太陽光発電所で、建築物の屋根上に設置した太陽光パネル、連系出力50kW未満の低圧事業用太陽光のうち平坦な立地する案件は課税対象から外す。

 税収は1年で約1億円、5年間で5億円を見込んでいる。税収の使途(目的)は環境保全と防災対策のほか、町民の生活環境の維持向上としている。

 「事業用太陽光パネル税」を巡っては、法定外目的税に求められる条件をクリアできるのか、という点が議論となってきた。条件とは、「既存の税と二重課税にならないこと」「税収の使途が正当であること」「国の政策と整合していること」という3つの要素に加え、導入に際しては「納税義務者の理解が得られているか」も重視される。

 改選前の議会における審議では、法律の研究者や弁護士を招いて意見を聞くなど、法定外目的税の要件に関する知見を蓄積して議論し、固定資産税との二重課税になる可能性や、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す国のエネルギー政策に逆行するとの課題が指摘されてきた。一方で、新型コロナウイルスへの対応から、新税の説明会などが開催できない中、市の執行部は、課税対象者への電話による説明とアンケート調査を実施してきた。

 改選後の美作市議会では、議員の構成メンバーが変わったことから、再度、法律の専門家を招いてヒアリングを行い、法定外目的税に関する知見を深めつつ、固定資産税との二重課税問題や国のエネルギー政策との整合性などの課題に関して審議することになる。

 今回の定例会本会議でも、一部の議員から、総務委員会の委員長に対し、「納税義務者からの訴訟リスクや、裁判になった場合の市が負担するコストについて議論したのか」との質問があった。これに対し、委員長は「今回の総務委員会では議論していない。今後専門家を招いた勉強会など通じて、こうした論点についても検討したい」と回答した。

 美作市の市議会は12月の定例会までに法律の専門家を招聘して意見を聞くことにしており、これを踏まえて、再度審議するとしている。

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