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ソーラーフロンティア、太陽光パネル生産から撤退、OEMに切替

国富工場の人員は半減、EPCやOEMなどを主体に構造転換

2021/10/12 18:12
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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ソーラーフロンティアの事業構造改革のイメージ
ソーラーフロンティアの事業構造改革のイメージ
(出所:ソーラーフロンティア)
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 出光興産グループの太陽光パネルメーカーであるソーラーフロンティア(東京都千代田区)は10月12日、国内の太陽光パネル生産から撤退し、中国メーカーによる結晶シリコン型パネルのOEMに切り替えると発表した。すでに今年度から結晶シリコン型パネルのOEM調達を始めており、来年6月には本格的にOEMに転換する。

 今後、ソーラーフロンティアは、太陽光発電所のEPC(設計・調達・施工)やO&M(運営・保守)サービスなどに経営資源を集中し、太陽電池の製造事業は人工衛星や自動車搭載用など特殊用途に絞り、研究開発を継続する。

 同社では、これまでに約800MWのメガソーラー建設と約500MWのO&Mサービスの実績があり、すでにノウハウが蓄積されている。さらに今後は、発電所の評価やリパワリング、太陽光パネルのリサイクル、自家消費やコーポレートPPA(電力購入契約)などに求められる需給バランス制御やエネルギー管理システム(EMS)などの成長分野にも乗り出すとしている。

 同社は、CIS化合物半導体系の薄膜太陽光パネルを開発して量産に成功、製造・販売を手掛けてきた。宮崎県国富町と宮城県大衡村の2工場で生産しており、両工場で合計約1GWの生産能力を持ち、これまでに累計で約6GWを生産・出荷してきた。

 2012年7月に固定価格買取制度(FIT)がスタートした当初、国内の太陽光パネルメーカーの中では最もコスト競争力があり、金融機関による国産品指定の傾向もあり、多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に採用された。だが、2016年頃から、中国メーカーによるパネル価格の低下が一段と進み、急速に収益が悪化した。2016年12月期連結決算において固定資産の減損損失(特別損失)を107億円計上した。

 その後、付加価値の高い住宅向け市場や自家消費市場に特化し、パネル事業の立て直しを目指したが販売は伸びず2013年度に1149億円だった売上高は2020年度には144億円まで落ち込んでいた。記者会見で平野敦彦・出光興産取締役(元ソーラーフロンティア社長)は、「中国勢は官民を挙げて巨額な投資を続け、その巨大な量産規模を背景にしたコスト競争力を武器にシェアを高めた。日本勢はついていけなかった」と振り返った。

 いまや中国勢の上位メーカーは、年産規模で10GWを超えており、そのスケールメリットを生かしたコスト競争力で世界市場を席巻している。

 国内の結晶シリコン系パネルメーカーのほとんどは、すでに中国メーカーからのOEM調達に切り替えており、ソーラーフロンティアの国内生産撤退により、国内で本格生産する大手パネルメーカーは姿を消すことになる。

 ソーラーフロンティアでは現在、東北工場はすでに商業生産を停止している。主力の国富工場では約350人の社員が製造などに従事しているが、生産終了により人員を半分程度に減らし、太陽光発電システムの販売支援や品質保証、アフターメンテナンスのほか、発電所評価やEMS、O&Mやリサイクル技術などに配置転換するという。残りの約半分は、出光興産グループ内で異動し、早期退職など人員削減は行わないとしている。

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