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パシフィコ・エナジーと英大手電力が洋上風力で合弁、10GW分を開発へ

太平洋側など、1GW超の案件を「着床+浮体」併設で実現へ

2021/11/04 17:13
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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洋上風力プロジェクトのイメージ
洋上風力プロジェクトのイメージ
(出所:パシフィコ・エナジー)
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SSEリニューアブルズのホームページ
SSEリニューアブルズのホームページ
(出所:SSE)
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 再生可能エネルギー開発・運営の国内大手、パシフィコ・エナジー(東京都港区)と英エネルギー大手のSSEリニューアブルズは、日本での洋上風力発電の開発を手掛ける合弁会社を設立する。今後、入札を通じて日本で合計出力10GW程度の洋上風力の開発を進め、2024年ごろには建設に着手する計画という。
 
 両社は、新会社「SSEパシフィコ」を共同で設立する契約を締結した。11月1日に発表した。新会社のCEO(最高経営責任者)には、SSEリニューアブルズの開発部門ディレクターを務めるマイク・シートン(Mike Seaton)氏が就任し、上級副社長兼COO(最高執行責任者)には、パシフィコ・エナジーのCOOである唐澤大氏が就任した。

 今後、パシフィコ・エナジーは引き続きメガソーラー(大規模太陽光発電所)をメインに事業展開する。同社社長である松尾大樹氏は、新会社の取締役として、洋上風力の開発プロジェクトにも関与していく。新会社にはパシフィコ・エナジーの従業員が最大20人移籍し、残りの人材はSSEリニューアブルズの従業員で補完するという。

· パシフィコ・エナジーは2012年に創業以来、建設中も含めて15案件で合計出力約1.3GWのメガソーラーを手掛けてきたほか、2017年から洋上風力の開発にも乗り出し、和歌山県西部沖、静岡県遠州灘沖など合計約10GWのプロジェクト開発を進めている。これらの案件が、新会社に引き継がれ、2020年代前半から半ば頃に再生可能エネルギー海域利用法に基づく入札に参加することを目指している。

 開発中の洋上プロジェクトのうち2件についてはすでに系統連系する送電線の容量が確保されており、開発地域のステークホルダーとの関係構築を進めているという。設置方式は、着床式と浮体式を組み合わせることになるという。

 日本の一般海域における洋上風力プロジェクトは、再エネ海域利用法による公募・入札が基本になっており、今年度に実施された第1期入札では上限価格は29円/kWhと公表されている。入札に参加した場合、電力供給価格の安さや地域との関係構築のほか、洋上風力発電における実績などが評価されるため、国内デベロッパーの多くが洋上風力で実績のある欧州企業などと連携している。

 SSEリニューアブルズは、英国およびアイルランドにおいて、7GWという同国地域最大の洋上風力発電の開発案件を持っており、世界的にもデンマークのオーステッド、ドイツRWEリニューアブルズに次ぐ世界第3位の規模を持つ洋上風力事業者となる。英国沖のプロジェクトでは7つの公募案件を落札した実績があり、2019年に運転を開始した案件(出力588MW)では24.7円/kWh(164.73GBP/MWh)だったが、2023年に稼働予定の案件(出力1.2GW)では5.9円/kWh(39.65GBP/MWh)まで落札価格が下がっており、世界でもトップクラスのコスト競争力を持つ。

 また、SSEリニューアブルズは、英国沖の案件で、現在、単機出力で世界最大となるGE製14MW機の採用を決めているほか、3案件で高圧直流送電(HVDC)を採用しており、こうした最先端の技術を日本のプロジェクトにも応用できるとしている。

 パシフィコ・エナジーの松尾社長は、「洋上風力プロジェクトの成功には、経験や実績に裏付けられた技術力とそれによる低コスト化、そして地元関係者との間で信頼関係を築くことが不可欠になる。パシフィコ・エナジーがこれまで太陽光などで培ってきた再エネ開発の経験にSSEとのパートナーシップによる洋上風力のノウハウが加わり、洋上プロジェクトを遂行できる体制が整った」としている。

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