日立造船は11月8日、同社100%子会社のスイスHitachi Zosen Inova(HZI)がスウェーデン・ヨンショーピング市にバイオガスプラントを建設し運転を開始したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた竣工式を9月14日に開催した。
周辺地域から回収した生ごみなどの有機性廃棄物をメタン発酵させ、バイオガスを生成する乾式メタン発酵槽を2基設置した。年間4万125tの有機性廃棄物を処理し、年間630万Nm3のバイオガスを生成する。
作られたバイオガスは精製して純度を高めた後、圧縮して「バイオCNG(Compressed Natural Gas)」として燃料充填所に送られ、市バスやごみ収集車の燃料に利用される。発酵過程で発生した残渣は、地元の農場や園芸場で堆肥として利用される。
スウェーデンでは、2045年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを目指している。国内輸送の温室効果ガス排出量は、同国の総排出量の3分の1を占めており、公共交通機関のバイオマス燃料への転換を重要政策に位置付けている。
HZIにとって、欧州で初めてのBOO(Build・Own・Operate)方式のプロジェクトであり、プラントの建設に加えて設備の所有と事業運営も行う。プラント所有・運営事業者は、HZIが設立した特別目的会社(SPC)のHZI Jönköping Biogasが担当する。
HZIは、2014年にスイス電力大手Axpoグループから乾式メタン発酵技術「Kompogas」のエンジニアリング・建設事業を買収した。Kompogasは、有機性廃棄物を酸素のない状態で約55度の温度で発酵させ、微生物の働きでバイオガスを生成する。2021年7月には通算100件目のバイオガスプラントを受注し、欧州ではトップクラスの実績を持つという。