トリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)は、大阪府堺市で実施する「ゼロエミッション・マリーナ」の実証プロジェクトに、太陽光パネルと蓄電池による自立型電源システムを供給した。今秋、実証施設が完成し、11月10日に報道関係者に公開した。
「ゼロエミション・マリーナ」は、マリーナ施設の電力需要を再生可能エネルギーで賄うことに加え、蓄電池だけで航行する電動小型船に再エネ由来の電気を供給する仕組みを構築する実証プロジェクト。堺旧港クリエイションマリーナに太陽光パネルと蓄電池を設置し、電動小型船に非接触充電(ワイヤレス充電)により電気を供給する。
電動小型船はベンチャーのEV船販売(東京都中央区)、非接触充電器はダイヘン、太陽光パネルと蓄電池はトリナ・ソーラー・ジャパンが供給した。小型電動船は、出力55kWの蓄電池を搭載し、満充電の場合、時速8ノットで約3.5時間航行できる。
太陽光発電システムは、マリーナ施設の屋根上に出力8kWの太陽光パネルを設置し、出力5.5kW・容量11.52kWhのリチウムイオン蓄電池と連携して、マリーナ施設の照明と小型電動船向けの非接触充電器に電力を供給する。太陽光で発電した電力は、マリーナ施設の一部照明と小型電動船の充電に使われ、余剰分を蓄電池に蓄える。
マリーナ施設と充電設備は商用系統と連系しており、太陽光と蓄電池による供給電力で不足した場合、系統から買電する。非常時に系統が停電した場合、太陽光と蓄電池システムは自立運転が可能で、その際、蓄電池の出力は3kWとなる。
トリナ・ソーラー製太陽光パネルは、単結晶シリコン製(商品名「Vertex」)。耐久性の高いフレーム付きの両面ガラスモデルで最大出力505W/枚。これを16枚設置した。蓄電池は、トリナ・ソーラー製の蓄電池を、同社とスマートソーラー(東京都中央区)が共同でシステムとして製品化したもので、防水・防塵性の高い規格(IP65)に準拠している。
「ゼロエミション・マリーナ」プロジェクトを主導しているEV船販売は、電動小型船の開発・普及に取り組むととともに、今回完成した「ゼロエミッション・マリーナ」をモデルとして、同様のコンセプトを全国のほかのマリーナにも導入していくことを目指す。
堺旧港のプロジェクトでは、今後、電動小型船の改良や用途開発に向け、船体やパワーユニット、自動操縦プログラムの設計のためのデータを収集する。設備面では、発電源として小型風力設備を追加するほか、再エネ余剰電力でポータブル蓄電池を充電して利用してもらう「ポータブル電源ステーション」の導入も検討している。