太陽光第10回入札、最低価格は10.23円、特高3案件で164MW落札

落札容量の合計は昨年度を越え、通期で950MW規模に

2021/11/28 11:08
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 一般社団法人・低炭素投資促進機構は11月26日、太陽光発電(250kW以上の高圧・特別高圧連系案件)を対象にした、固定価格買取制度(FIT)による第10回入札(令和3年度第3回)の結果を公表した。

 前回に続き、札を入れた容量は募集容量を上回り、最高落札価格は上限価格を下回るなど、入札回数を増やして1回の募集容量を減らした効果が表れた。

 今回の入札は事前に上限価格を公表し、前回の10.75円/kWhから0.25円下げ、10.50円/kWhと設定していた。また、募集容量(入札量)は前回より18.2801MW多い242.6158MWとしていた。

 落札されたのは81件・242.6158MWで、最低落札価格は10.23円/kWh、最高落札価格は10.40円/kWh、加重平均落札価格は10.31円/kWhだった。募集容量を約18MW増やしたものの、落札案件の1件当たりの出力が大規模化したことで、落札件数は192件から81件と半分以下に減った。

 最低価格は前回の10.28円/kWhから0.05円の低下に留まったものの、最高落札価格は前回の10.73円/kWhから0.33円下がり、加重平均落札価格は前回の10.60円/kWhから0.29円下がった。上限価格の低下幅以上に、落札価格が下がったことになる。

 今回の入札での募集容量は242.6158MWで、札を入れたのは188件・合計出力約332.5629MWで、募集容量を約90MWも上回った。その結果、落札されたのは、より低い価格を入れた札から242.6158MWに達した81件となり、107件(合計約90MW)が落札できなかった。結果的に、最高落札価格は、上限価格を下回る10.40円/kWhとなった。その意味では、前回と同様、最高落札価格が上限価格に張り付くことなく、本来の競争入札の効果が出た。

 2021年度の入札は、対象を2020年度と同様、250kW以上としたが、入札回数を2回から4回に増やすとともに入札上限価格を事前に公表した。2020年度入札の上限価格は事前非公表で、上期(第6回)・12円/kWh、下期(第7回)・11.5円/kWhだったが、2021年度の入札では、1回目(第8回)・11円/kWh、2回目(第9回)・10.75円/kWh、今回の3回目(第10回)は10.50円/kWh、次の4回目(第11回)は10.25円/kWhとなる。

 加えて、募集容量を減らすことで、入札効果を高めることを狙った。2020年度は上期・下期各750MWで合計1500MWだったが、2021年度は1回の募集量を208MWとし、2回目は1回目の応札量と落札量の差分の4割を加えた224.3357MW。今回の3回目は、2回目の応札量と落札量の差分の4割を加えた242.6158MWとした。次の4回目は、 3回目の応札量と落札量の差分の4割を加えた278.5946MWとなる。

 結果的に今年度通期の募集容量は合計で953.5461MWとなり、かりに4回目も募集容量と同じ量を落札した場合、今年度通期の落札量の合計は、昨年度通期の合計落札量である437MWの2倍を超えることになる。入札上限価格の低下で落札価格が継続的に下がっているなかでも、今年度に入り、新規開発が活発化している。

 今回の入札で、参加資格の審査に提出された案件は218件・377.5657MWで、参加資格を得たのは213件・374.0663MWとなった。そのうち実際に入札に参加したのは188件・332.5629MWとさらに減った。入札参加に意欲を持っていたものの、連系協議の進展遅れなど何らかの理由により、入札を見送った件数が25件・約41MWあった。

落札者の決まるイメージ
落札者の決まるイメージ
(出所:一般社団法人・低炭素投資促進機構)
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特高3案件に「ミドル」が押し出される

 今年度は、フィード・イン・プレミアム(FIP)開始を来年度に控え、250kW以上の太陽光がFITによる売電事業で認定が取得できる最後の年度になる。そのため駆け込み認定が予想された。入札参加資格の審査に提出された容量は、前回の318.347MWから今回377.5657MWに増加し、やはり駆け込みの傾向が出てきた。次回のFIT最後の入札ではさらに駆け込みが増え、入札上限価格が10.25円/kWhに下がることと合わせ、落札価格は10.00円前後での駆け引きになり、加重平均落札価格が10円/kWhを下回る可能性もある。

 今回の落札結果を、規模別に見ると、2MW以上の特別高圧案件は3件(39.9MW・10.25円/kWh、94.16MW・10.29円/kWh、29.999MW・10.33円/kWh)、1MW以上2MW未満のメガソーラーが34件、250kW以上1MW未満のミドルソーラーが44件だった。前回入札では特高案件が4件、メガソーラーが60件、ミドルソーラーが128件だったことと比べると、メガソーラーが半減、ミドルソーラーが3分の1に減少した。

 今回、募集容量が約18MW増えたにもかかわらず、メガソーラーとミドルソーラーの件数が大幅減となったのは、特高の落札案件の規模が大きく、3件合計で約164MWに達したことが背景にある。この3件だけで落札量全体の7割弱を占めた。前回の入札では特高案件4件のうち3件が10MW未満だったため合計でも約60.6MWに留まっていた。

 今回の落札件数が前回の192件から81件に半減したのも、低価格を付けた大規模な特高3案件の落札に伴い、メガソーラーとミドルソーラーが押し出された格好になったからだ。落札できなかった案件の平均容量は1MWを下回るため、多くのミドルソーラーが10.40円/kWhを超える価格を付けて落札できなかったことが伺える。

 今年度の入札ではこれまで、用地確保の面で開発余地の大きいミドルソーラーの落札件数が群を抜いていたが、ここにきて数十MWクラスの大規模な特高案件の開発に復調の兆しがあり、次回でも容量ベースでかなりの募集枠を占める可能性もある。もともと太陽光発電の開発で最もコスト効率の高いサイズは、数十MWクラスの大規模案件だけに、入札でも、本来のコスト競争力が発揮されて、特高案件が有利となってきたとも言える。