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東アジアICT企業の再エネ導入評価、ソニーが1位も改善の余地大

2021/12/04 23:19
工藤宗介=技術ライター
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東アジア3カ国のICT企業の再エネ導入評価ランキング
東アジア3カ国のICT企業の再エネ導入評価ランキング
日本企業は10社すべてが15位以内にランクインした(出所:グリーンピース・東アジア)
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 環境NGO(非政府組織)のグリーンピース・東アジアは12月2日、東アジア3カ国(日本、中国、韓国)の代表的な情報通信(ICT)関連企業30社を対象に、気候変動対策や再生可能エネルギー導入を評価した報告書を発表した。日本企業は、ソニー、富士通、パナソニックがランキングの1位~3位を占め、10社全てが上位15位以内に入った。しかし、ソニーでも再エネを利用する事業所が全体の10%に満たないなど、改善の余地は大きかった。

 評価方法は、「気候変動対策のコミットメント(目標設定)」「実施状況」「情報開示(透明性)」「アドボカシー(政策提言など)」の4つの指標を評価し、総合的な評価をもとにA+~Fのランキングを行った。9月30日までの企業の公表情報や報道、政府情報など、だれもが無償で入手できるものを情報源とした。

 調査対象となった日本企業は、ソニー、富士通、パナソニック、ルネサスエレクトロニクス、楽天、ソフトバンク、日立、東芝、ヤフー、キヤノンの10社。この10社の電力消費量は年間25.6TWhで、愛知県の全製造業の電力消費にほぼ匹敵するという。

 日本企業10社のうち5社が「再エネ100%」目標を明示していた。そのうち2030年より早い時期での移行は、ヤフー(2023年)と楽天(2025年)の2社のみだった。他の企業は今世紀半ばとしており、RE100参加企業の目標年の平均である2028年と比べて遅い。また、サプライチェーン全体を温室効果ガス排出削減計画に含めていたのは、ソニー、東芝、日立の3社だけだった。

 日本企業の再エネ利用率は、総電力消費量でみると楽天の64.8%を除き、残り9社は15%以下と非常に低かった。一方で、10社すべてがサプライチェーン全体(スコープ3)を含む温室効果ガス排出量データを開示しており、政策アドボカシーでも6社がA-と評価されるなど、日本政府に対して2030年の再エネ導入目標の引き上げを要請している。

 調査対象となった東アジア30社の電力消費量は、タイの2019年の総電力消費量を上回る。しかし、グローバル企業のアップルが2030年までにサプライチェーンを含めた100%目標を、グーグルが2030年に全ての消費電力をローカル調達の再エネで賄う目標を打ち出す一方で、東アジアのICT企業は再エネ目標や脱炭素目標で大きな遅れが目立つ結果となった。

 再エネの導入には、太陽光自家発電と再エネ由来の電力証書に頼る傾向が見られた。自家発電だけでは自社の電力需要を満たすことができず、電力証書は地域の再エネ開発を直接増やすことにはつながらないことから、オフサイト型PPA(電力購入契約)のように再エネ開発を追加的に促す調達の増加が期待されるとしている。

 ICT企業に対する提言としては、「サプライチェーンを含めて2030年までに使用電力の再エネ100%を実現する目標を設定」「サプライチェーンを含めてカーボンオフセットに頼らない温室効果ガス排出削減目標を設定」「スコープ3を含むデータ開示の枠組みを遵守しサプライチェーン全体の環境データを開示」「業界リーダーとしてさらなる再エネ政策の改善を政府に求めPPAなど再エネ開発の追加的な拡大に貢献する調達方法を選択」などを求めている。

 日本は依然として2020年時点で電源構成の約75%を化石燃料に依存している。日本政府に対しては、「石炭火力はアンモニア混焼・高効率・CO2回収設備なども優遇せず2030年までに例外なく停止」「2030年までに再エネを電源構成の50%以上を目標として明確な道筋を提示」「大規模再エネ電源の需要家企業との直接契約や離れた発電所からのPPA調達要件緩和など新しいグリーン電力販売業者が参入しやすい環境を整備」を求めている。

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