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地熱とバイオマスで水素製造、太陽光・水電解より低コスト

2021/12/07 09:57
工藤宗介=技術ライター
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地熱とバイオマスによる水素製造技術の概要
地熱とバイオマスによる水素製造技術の概要
(出所:清水建設)
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水素製造コストの比較
水素製造コストの比較
(出所:清水建設)
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 清水建設は11月30日、地熱とバイオマス資源を活用した低コストの水素製造技術について、大分県九重町で実証プラントの建設に着手したと発表した。同技術は、製造時のCO2排出量を化石資源由来水素の10分の1以下に、製造コストを太陽光や風力による電気で水を電解分解したケースの3分の1以下に低減できるという。

 現在市販されている水素の主流は、LNG(液化天然ガス)などの化石燃料由来で、製造時の改質工程でCO2を排出するため、「グレー水素」を呼ばれている。また、今後、期待される太陽光や風力由来の「グリーン水素」の場合、現時点で発電コストが高く、水の電気分解で水素を取り出すと、製造コストが高くなるのが課題だった。

 今回発表した水素製造技術は、市川事務所(東京都新宿区)、エネサイクル(宮城県大崎市)、大日機械工業(横浜市)、ハイドロネクスト(大分市)と共同開発した。木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。

 木質チップから生成した炭化物と水蒸気を改質反応器に投入し、800度超の高温にすることで化学反応させて、H2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガス(改質ガス)を生成する。この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置を用いて、純度99.999%以上の水素を抽出・製造する。

 太陽光・風力発電の水電解技術による水素製造コストが約120円/Nm3のところ、同技術では水素製造過程で生成する1070度の高温ガスを熱源に利用し電力使用量を抑えることで38円/Nm3を実現したという。さらに、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い焚き熱源として活用することで24円/Nm3まで低コスト化できるという。

 実証プラントの建設は「令和2年度 環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」からの助成金を得た。水素製造能力は50Nm3/h。2022年3月末に竣工し、3カ月の試験運転期間を経て7月から性能を検証する。具体的には、多様な木質チップを利用できること、製造過程でCO2を発生させないこと、水素製造コストを検証し、2023年3月に環境省に検証結果を報告する。

 清水建設は、2025年までに実証事業で取得したノウハウを活用し、大分県や熊本県、鹿児島県など九州を中心に中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントを複数建設する計画。実用機の水素製造能力は250〜1000Nm3(22.5〜90kg-H2)/h、木材チップ投入量は2t/h、地熱水蒸気使用量は0.65t/hを想定している。

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