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再エネ事業「促進区域」、7割の自治体が「検討中」に留まる

2021/12/13 23:24
工藤宗介=技術ライター
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「脱炭素先行区域」への応募意向、再エネ事業の「促進区域」を設ける意向
「脱炭素先行区域」への応募意向、再エネ事業の「促進区域」を設ける意向
(出所:矢野経済研究所)
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地域の特徴を生かした再エネ有無、再エネ普及に向けた課題
地域の特徴を生かした再エネ有無、再エネ普及に向けた課題
(出所:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は12月8日、カーボンニュートラルに向けた施策の動向に関する自治体アンケート調査の結果を発表した。それによると、改正地球温暖化対策推進法の求める「再生可能エネルギー事業の促進区域」の設定に関し、7割の自治体が「検討中」に留まっていることが分かった。

 2021年9月末までに2050年カーボンニュートラルを表明している177自治体(24都道府県、153市区町村)を対象としたインターネット・メール・郵送によるアンケート調査で、共同通信社の協力により実施した。調査期間は10月~11月。

 調査結果によると、「促進区域」設定の意向について、対象外と回答した自治体を除く150自治体のうち、「ある」がわずか7.3%で、「設けるかどうか検討中」は70.0%、「ない」が22.7%だった。「検討中」の主な理由は「制度の詳細が不明」「知識・情報の不足」「関係者との調整が途中」などが多く、動きが鈍い可能性があることが示唆されている。

 また、政府による「地域脱炭素ロードマップ」で進める「脱炭素先行区域」への応募意向については、対象外と回答した自治体を除く172自治体のうち、「ある」は22.7%に留まり、「応募するかどうか検討中」が53.5%、「ない」が23.8%だった。検討中の理由には「再エネ事業の促進区域との関係性を検討中」とした回答があり、具体的な施策の実施・検討レベルによって応募意向が変わる可能性があると考えられるという。

 このほかにも、地域の特徴を生かした再エネの有無について聞いたところ、回答数が多かったのは「屋根置き太陽光発電」が60.5%、「野立て太陽光発電」が42.4%、「バイオマス発電」が36.7%、「小水力発電」が28.8%だった。低コストや幅広い地域での導入の可能性を特徴とする再エネが上位となった。

 再エネの普及に向けた課題については、「発電設備の導入に係るコスト」が84.2%、「発電に適した場所の選定・確保」が76.8%、「蓄電設備の導入に係るコスト」が74.6%となり、自治体が導入コストを重視していることが伺えた。

 再エネ事業の「促進区域」は、災害時の電力供給などの地域貢献が見込める再エネ事業を地域に呼び込む「促進区域」を市区町村が設けることができる制度。2022年4月施行予定の改正地球温暖化対策推進法で創設される予定。

 「脱炭素先行地域」は、政府が開催した「国・地方脱炭素実現会議」で作成した「地域脱炭素ロードマップ」で決めた。2030年度までに地域と暮らしに密接に関わる分野の温室効果ガス削減に取り組み、民生部門(家庭部門および業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを、その他についても2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現し、それらの道筋を2025年度までに立てていることが要件とされる地域になる。

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