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蓄電池併設の太陽光・風力、日本企業が海外で事業化へ

サモアの風力、ヨルダンのメガソーラー事業に出資

2021/12/15 20:44
工藤宗介=技術ライター
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ヨルダンの蓄電池併設型太陽光発電所「Al Badiya」
ヨルダンの蓄電池併設型太陽光発電所「Al Badiya」
(出所:LooopとENECHANGEの共同リリース)
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Al Badiyaに設置されたテスラ製蓄電池
Al Badiyaに設置されたテスラ製蓄電池
(出所:LooopとENECHANGEの共同リリース)
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 日本企業が、海外で蓄電池併設型の再生可能エネルギー発電プロジェクトの事業化に取り組んでいる。蓄電池を活用した需給調整技術を提供することで、変動電源である太陽光・風力発電の安定運用・主力電源化を目指している。

 日本工営とレノバは12月10日、米領サモアでの蓄電池併設型風力発電事業の実施に向けて特別目的会社(SPC)を設立し、米領サモアの公機関であるAmerican Samoa Power Authority(ASPA)と電力供給に関する契約を締結したと発表した。稼働時期は未定、事業期間は稼働後25年間の予定。

 米領サモアの主要島トゥトゥイラ島西部に出力42MWの陸上風力発電設備および容量40MWhの蓄電池を設置し、ASPAへの売電を通じて島内系統に電力を供給する。蓄電池を併設することで、再エネ利用率向上とともに、急激な出力変動への対応、離島系統における需給調整など、領内の電力供給の安定化にも貢献する。

 日本工営は、蓄電池と制御システムの仕様選定、離島系統の制御・システム構成を検討する。レノバは、風況解析と風車の選定、タービン設置にかかる全体設計を行う。両社が50%ずつ出資して米国デラウエア州にPacific Rim Energyを設立し、Pacific Rim Energyが100%出資して米領サモアにTutuila Wind Energyを設立した。

 米領サモアは、発電量の90%以上を輸入軽油による発電に依存しており、電力単価の高騰が課題となっている。2016年9月にエネルギーアクションプランを発表し、2025年に再エネ比率50%、2040年に100%とする目標を掲げている。同プロジェクトの発電量は領内電力需要の約50%に達し、島内の主力電源を再エネに置き換える計画になる。

 また、Looop(東京都台東区)とENECHANGE(東京都千代田区)は、海外特化型の脱炭素エネルギーファンド「JAPAN ENERGYファンド(JEF)」を通じて、ヨルダンの蓄電池併設メガソーラー(大規模太陽光発電所)「Al Badiya」に12月1日付で出資した。出資額は非公表。

 ヨルダン初のメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトで、出力は約23MW、年間発電量はヨルダン国民約2万5000世帯分に相当する42GWh。また、米テスラ(Tesla)製の容量1万2600kWhの蓄電池を併設する。ヨルダンは、送電網の整備が十分でないため電力系統への再エネ接続可能容量が限られており、高い日射量を十分に生かせていない状況にある。同発電所では蓄電池を活用し、日中に送電が難しい余剰電力を蓄電し、夜間に系統に流すことでこの課題に対応している。

 ヨルダンで初めて太陽光パネルを生産したフィラデルフィア・ソーラーが開発した。LooopとENECHANGEは、同発電所へ出資するとともに、フィラデルフィア・ソーラーと共同で運営する。ENECHANGEの電力データ解析サービス「SMAP」や電源管理サービス「エネチェンジKiwi」の蓄電池制御を提供することで、同発電所の運用効率の向上や収益性の改善などを目指す。

 JEFは「日本企業による海外への脱炭素エネルギー投資促進」を目的としたファンドで、エマージング諸国の再エネ事業へ投資する「JEF Renewables」と、先端技術を持つエネルギー系スタートアップに投資する「JEF Ventures」の2分野で取り組んでいる。有限責任組合員として、ENECHANGE、Looop、大和エナジー・インフラ、北陸電力ビジネス・インベストメント合同会社、エンバイオ・ホールディングスが参画する。ファンド規模は1億米ドル、運用期間は2029年12月まで。

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