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日系企業5社、英国で100MWの「系統蓄電池」事業

日本工営がTMEIC製システムを運営・制御し、系統安定化サービス

2021/12/22 11:05
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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共同出資者 5 社による事業開始式の様子
共同出資者 5 社による事業開始式の様子
(出所:5社のリリース)
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プロジェクトの事業イメージ
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アグリゲーターを通してさまざまな市場にサービスを提供する(出所:日本工営)
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プロジェクトの立地
プロジェクトの立地
(出所:日本工営)
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TMEICのインド工場に設置された蓄電池システムラボ
TMEICのインド工場に設置された蓄電池システムラボ
(出所:TMEIC)
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 日系企業5社が連携して、英国で大規模な系統蓄電池を使った系統安定化サービスに乗り出す。英国の2カ所で合計約100MWの蓄電池を電力系統に接続し、再生可能エネルギーの増大により不安定になる需給バランスを蓄電池の充放電で安定化させるアンシラリーサービスなどを行う。

 12月21日、日本工営と東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、芙蓉総合リース、テスホールディングス、東京センチュリーが発表した。

 日本工営の完全子会社である、Nippon Koei Energy Europe (NKEE)を通じて、英国の南東部に位置するトールゲート(Tollgate)とカックストン(Cuxton)に系統用蓄電池を設置する。出力は各 49.5MW・合計約100MWで英国でも最大級の蓄電池事業になる。

 プロジェクト開発からEPC(設計・調達・建設)サービス、運営はNKEEが担う。設備面では、TMEICが蓄電池と蓄電池用パワーコンディショナー(PCS)などの蓄電池システムを、日本工営が制御システムを供給する。

 日本工営とTMEIC、芙蓉総合リース、テス・エンジニアリング、東京センチュリーが出資するとともに、芙蓉総合リースがシニアレンダーとしてプロジェクトファイナンスを組成し、事業資金を調達した。2021年12月に着工し、2023年初頃の商用運転を目指す。

 系統安定化サービスでは、英国の系統運用者National Grid Electricity System Operator(NGESO)を中心に、英国の多様な電力市場にアクセスする。具体的にはアグリゲーターとして ベルギーのYUSOが系統運用者に対してアンシラリーサービスやバランシングサービスを提供するとともに、卸電力市場を使ったアービトラージ(裁定取引)などを行う。

 英国は、発電量に占める再生可能エネルギーの比率が 2020年に40%を超え、カーボンニュートラルの実現に向け、蓄電池の活用を進めている。現在、すでに合計約1.3GWの系統用蓄電池が運用されており、さらに2035 年までに13GWから30GWの蓄電池が必要とされているという。

 日本工営は、2017年から英国の系統用蓄電池事業に投資しており、これまでに事業開発のほか、制御システムの納入やEPC、工事監理などで実績があるという。今回の英国でのプロジェクトは、ベルギーで建設を進めている出力25MW・容量100MWh の系統用蓄電事業(Ruien Energy Storage)に続く、蓄電池プロジェクトの開発案件になる。

 TMEIC はメガソーラー(大規模太陽光発電所)やウインドファーム(大規模風力発電所)との併設を中心に日本国内でトップクラスの蓄電池システムの納入実績がある。英国市場向けの再エネ併設型蓄電池システムの納入は初めてになる。今回のプロジェクトでは、蓄電池と蓄電池用PCSのほか、電力・電圧・周波数を制御するパワープラントコントローラー(PPC)などの主要機器とソフトウエアを統合した蓄電池システムを供給する。

 TMEIC はインド子会社 TMEIC Industrial Systems India Private Limited のパワーエレクトロニクス工場に蓄電池システムのラボがあり、電力系統と工場負荷に接続した太陽光発電と蓄電池、さらにリアルタイムシミュレーターを組み合わせた実証試験環境を有しているという。このラボで今回のプロジェクトで求められる各種制御機能の開発・検証を行い、サイトでのスムーズな立ち上げを目指すとしている。

 日本では、2021年9月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画で需給調整市場の拡大が盛り込まれており、今後、系統蓄電池システムの重要性が増していく。系統安定化サービスで先行する英国での知見や実績は、今後、国内でも生かされる可能性が高い。

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