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東芝、世界最高効率の透過型Cu2O太陽電池を開発

低コスト・高効率なタンデム型太陽電池に期待

2021/12/23 00:48
工藤宗介=技術ライター
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Cu2O/Siタンデム型太陽電池の模式図
Cu2O/Siタンデム型太陽電池の模式図
(出所:東芝)
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透過型Cu2O太陽電池セル
透過型Cu2O太陽電池セル
(出所:東芝)
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EVへのCu2O/Siタンデム型太陽電池搭載イメージ
EVへのCu2O/Siタンデム型太陽電池搭載イメージ
(出所:東芝)
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 東芝は12月22日、透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池において世界最高の発電効率8.4%を達成したと発表した。Cu2Oは、地球上に豊富に存在する銅と酸素の化合物であり、製造装置(スパッタ装置)も安価なため大幅な低コスト化が可能で、高効率シリコン(Si)太陽電池と積層することで低コスト・高効率なタンデム型太陽電池の実現が期待される。

 タンデム型太陽電池は、2つの太陽電池セル(発電素子)をボトムセルとトップセルとして重ね合わせ、両方のセルで発電することで全体の発電効率を向上させる。代表的な高効率太陽電池であるガリウムヒ素半導体(GaAs)などIII-V族太陽電池を積層したタンデム型太陽電池は30%台の発電効率が報告されているが、製造コストがSi単体の太陽電池の数百倍~数千倍と高く、幅広い製品に適用するには大幅な低コスト化が必要になる。

 同社は、2019年にトップセルとして低コスト化が可能な透過型Cu2O太陽電池を世界で初めて開発し、Cu2O/Siタンデム型太陽電池としてSi太陽電池単体(当時使用したSiの発電効率は22%)を上回る23.8%の実証に成功した。その一方、Cu2Oの半導体結晶としての性質から、結晶中に酸化銅(CuO)や銅(Cu)といった不純物が生成されやすく、発電効率と光透過性の両方の低下原因になっていた。

 今回、X線回折法を用いて、Cu2O発電層に含まれるごく微量のCuOやCuを直接検出して不純物の量を数値化し、不純物が最小化する成膜プロセス条件を特定することで、優れた光透過性と高い発電効率を両立した透過型Cu2O太陽電池の開発に成功した。トップセルに同Cu2O太陽電池、ボトムセルに発電効率25%のSi太陽電池を適用したCu2O/Siタンデム型太陽電池の発電効率は27.4%と試算され、Si太陽電池の世界最高効率26.7%を上回る。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、高効率太陽電池を搭載した電動車両で年間充電回数ゼロの達成が可能かを試算し公開している。この試算方法を参考に、発電効率27.4%のCu2O/Siタンデム型太陽電池を適用した結果、充電なしの1日の航続距離は約35kmと試算された。

 タンデム型太陽電池の発電効率30%以上を目標とすると、必要となる透過型Cu2O太陽電池の発電効率は10%以上になる。また、発電効率30%の太陽電池を搭載した自動車の充電なしの1日の航続距離は約40kmと試算される。同社は今後、NEDOの委託事業として、Cu2O太陽電池の目標値である発電効率10%の達成に向けて開発を進めていく。

 また、NEDO委託事業とは独立して、東芝エネルギーシステムズと共同で、量産タイプのSi太陽電池と同サイズの大型Cu2O太陽電池の開発を開始した。2023年度に外部評価用サンプルの供給を始め、2025年度に実用サイズのCu2O/Siタンデム型太陽電池の製造技術の完成を目指す。

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