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洋上風力から無人船で電気を運搬、今治造船が開発会社に出資

2021/12/23 17:53
工藤宗介=技術ライター
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Power ARK 100の完成予想図
Power ARK 100の完成予想図
(出所:パワーエックス)
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 大型蓄電池の製造および電気運搬船の開発を手掛けるパワーエックス(東京都港区)は、船舶用蓄電池を積載した電気運搬船「Power ARK」の開発に向けて、12月2日に今治造船(愛知県今治市)と資本業務提携契約を締結した。

 資本業務提携に基づき、パワーエックスは10億円の資金を調達する。また、両社は、必要に応じて第三者の参画も得ながら、2025年末までを目標にPower ARKのプロトタイプを共同開発する。プロトタイプでは、容量が数MWh~数十MWh程度の蓄電池を搭載するテストから実施していく予定。

 パワーエックスは、独自設計の蓄電池モジュールと、高度な充放電管理により安全性と最大寿命を実現する蓄電池マネジメントシステム(BMS)を開発し、同船に搭載する。最初に搭載する蓄電池はリチウムイオン電池を想定するが、複数の蓄電池を用いてさまざまな試験や検証を行い、最も安全性と性能が高いものを採用する予定。

 Power ARKは、洋上風力で発電された電力を直接蓄電し、沿岸部の変電設備まで無人で運搬する。大規模な敷設工事が必要となる海底ケーブルと比べて、環境や自然に優しく災害にも強い送電が可能になる。また、海底ケーブルから解放されることで、洋上風力発電所の設置場所の自由度も大きく向上する。

 現在公開されている船体画像は、日本海沖の洋上風力発電用に船舶技師と設計したもの。日本海沖の波高および波長を考慮し、洋上で充電接続するためのクレーン操作を安定的に行うため、船体左右に浮力を安定化させるウイングを備えた。重量のある大型蓄電池を多数積載した状態でも、洋上でより安定した航行と停止時の姿勢保持が可能という。

 初号船「Power ARK 100」は、船舶用蓄電池を100基積載し、蓄電容量は220MWhの予定。一回の航行で一般家庭20万9000世帯分の電力を運搬することを想定する。航続距離は、電気推進で100~300km。さらにバイオディーゼルなどを併用することで遠距離航行にも対応し、国境を超えた大陸間のクリーンエネルギー輸送も実現可能としている。

 将来的には、数千MWh規模の蓄電池を搭載する大型船「Power ARK 1000」「Power ARK 3000」も計画する。また、パワーエックスが開発する蓄電池は、汎用性の高いモジュール設計とすることで、船舶用のほかグリッド用など、幅広い用途で利用できる電池として、さまざまな用途と製品に展開していく予定。

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