商船三井は12月9日、長崎県の大村湾で、風力を活用して推進するゼロエミッション船「ウインズ丸」の実証実験に成功したと発表した。同社など8者が共同で取り組む「ウインドハンタープロジェクト」の一環になる。
ウインドハンタープロジェクトで開発を進めているゼロエミッション船は、強風時に風力で航行するとともに水中タービンを用いて発電し、その電力で水素を船内生産・貯蔵する。弱風時には貯蔵した水素を使用して燃料電池で発電し、電動プロペラで推進する。
ステージ1の実証実験に用いるウインズ丸は、船体約12m、総トン数約8tのセーリングヨット。11月24日からこれまで計5回、試験的に航行し、海洋風による発電、水素生産、水素貯蔵、貯蔵水素を使用した燃料電池による発電、電動プロペラによる推進、といった一連のサイクルを成功させた。
今後、さらに各種機器の実性能特性や船自体の効率などを検証し、航行データの蓄積・解析を重ね、2022年3月までの実証実験終了を目指す。その後のロードマップでは、ステージ2は2024年までに船体60mの帆船による実証、ステージ3は2030年までに大型ゼロエミッション輸送船の開発・建造を目標とする。
参画企業・団体は、商船三井、大内海洋コンサルタント、海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所、スマートデザイン、東京大学大学院新領域創成科学研究科、西日本流体技研、日本海事協会、みらいえね企画合同会社の8者。