シン・エナジー(神戸市)と地元企業が出資して設立した奥飛騨水力発電(岐阜県高山市)は、岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷に小水力発電所「一宝水第一水力発電所」を建設する。12月23日、起工式を開催した。2023年春ごろに運転を開始する予定。
神通川水系高原川(毛受母川)の未利用水資源を活用する。既設砂防ダムを利用して取水し、有効落差は最大出力時65.50m、最大使用水量は1.220m3/s。最大出力は657kW、年間発電量は一般家庭約1490世帯分に相当する4859MWhの見込み。
水車はチェコ・マーベル(Mavel)製の横軸フランシス水車、発電機はセルビアATB Sever製の三相誘導発電機を採用した。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)に基づき中部電力パワーグリッドに売電する。売電単価は29円/kWh。
事業運営は奥飛騨水力発電、設備設計はシン・エナジーが担当した。奥飛騨水力発電にとって、2020年12月に竣工した「安房谷水力発電所」に続く2カ所目の小水力発電所になる。両発電所合計の年間発電量は、約2490世帯分に相当する約8134MWhになる。
両社は、奥飛騨における「地域貢献型水力開発」の基本コンセプトとして、地域事業会社への地元出資51%以上、調査工事・土木建築工事・金融などで地元企業を優先的に活用した。売電収益の一部を「地域振興基金」として地元に還元、複数地域を対象とした地域一貫開発を掲げている。