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国内の自家消費太陽光市場、2035年に4GW超に

オンサイトPPAが急増、2035年度には2020年度の15.9倍に

2021/12/27 22:44
工藤宗介=技術ライター
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国内太陽光発電システムの市場規模
国内太陽光発電システムの市場規模
(出所:富士経済のデータをもとに日経BP作成)
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国内太陽電池市場の推移
国内太陽電池市場の推移
(出所:富士経済のデータをもとに日経BP作成)
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国内の自家消費型太陽光システムの市場規模
国内の自家消費型太陽光システムの市場規模
(出所:富士経済のデータをもとに日経BP作成)
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国内のオンサイトPPAモデルによる太陽光の市場規模
国内のオンサイトPPAモデルによる太陽光の市場規模
(出所:富士経済のデータをもとに日経BP作成)
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 富士経済(東京都中央区)は12月23日、太陽光発電システムの国内市場の調査結果を発表した。それによると、第三者所有によるオンサイト型PPA(電力購入契約)モデル・リース市場は、2021年度が2020年度比72.0%増の277億円の見込みで、2035年度には同15.9倍の2553億円まで拡大すると予測している。

 同市場は、固定価格買取制度(FIT)による売電単価と電力系統からの買電との価格差が少なくなった2017年度以降、本格的に市場が形成されている。FITによる投資型から自家消費型への過度期における効果的な導入手法として、今後も市場拡大が続くと見られる。

 また、電力需要に応じたシステム設計など、売電目的で導入される太陽光発電システムと異なるノウハウが求められ、長期契約が前提となる。顧客との継続的な関係構築などによって、将来的はVPP(仮想発電所)、DR(需要応答)、P2P電力取引などへの展開を想定する事業者も多い。

 住宅向けは、これまで太陽光発電の取り扱いに慎重だった中小ビルダーにおいても、顧客の費用負担感を軽減できるオンサイト型PPAによる導入提案が標準化しつつある。今後は認知度向上とともに、新築住宅の太陽光導入形態のひとつとして定着し、蓄電池をセットとした展開も予想される。

 非住宅向けは、自家消費が前提となり、オンサイト型の屋根設置案件が中心となる。導入先は、低圧連系システムが中小規模の商業施設や文教施設、医療・福祉施設、公共施設など。高圧・特別高圧連系の場合は、工場や冷凍・冷蔵倉庫などが多い。長期的にはオフサイト型の野立て案件の増加も期待される。

 自家消費型太陽光発電システム市場は、2021年度が2020年度比14.1%増の2816億円、2035年度には同2.4倍の5857億円と予測する。出力ベースでは、2021年度は同21.2%増の1260MW(自家消費型比率20.3%)、2035年度は同4.3倍の4460MW(自家消費型比率66.5%)と予測している。

 自家消費型は、「FITを活用していない」「蓄電・蓄熱システムを併設する」「第三者所有型で導入される」「FITを活用しているが余剰電力の売電が少ない」といった太陽光発電を対象とする。FIT売電価格の引き下げと電力料金の上昇により、FIT活用から自家消費へと移行しつつあるという。

 住宅向けは、太陽光発電と蓄電・蓄熱システムのセット導入が増えている。特に蓄電池の導入が50%程度まで高まっており、新築住宅では蓄電・自家消費を前提とした自家消費型が標準化しつつある。現状は売電の方が経済的メリットを得やすいが、長期的にはFITによる余剰電力買取制度の廃止も想定され、2035年度には自家消費型比率が100%になる見込みという。

 非住宅向けは、環境価値ニーズの高まりや電力料金の上昇などによって導入が進み、オンサイト型PPAの活用も増えている。現在は全量自家消費が基本で、電力需要の少ない時期に合わせたシステム設計となるため、太陽光の設置可能面積を十分に活用できていないケースも多い。今後は、フィード・イン・プレミアム(FIP)を活用した売電や、自己託送による電力融通など、余剰電力の活用が増えていくと見られる。

 太陽光パネル市場は、2021年度が2020年度比7.9%増の2819億円、2035年が同42.3%減の1509億円と予測する。このうち色素増感、有機薄膜、ペロブスカイト、GaAsといった次世代太陽電池は、2035年度に86億円を見込む。出力ベースでは、2021年度が同3.6%減の6750MW、2035年度が同3.7%増の7260MWと予測する。

 2020年度は、新型コロナ拡大や材料価格高騰による導入先延ばしなどにより市場が縮小。2021年度は、材料価格高騰に伴う値上げで金額ベースでは拡大した。2022年度以降は、非住宅用のFIT受注残と新規需要獲得の減少により縮小が続くと見られる。中長期的には、世界的な生産拡大に伴う低価格化、電力料金の上昇とカーボンニュートラル対応ニーズの高まりにより、2030年度ごろに下げ止まって拡大に向かうと予測する。

 次世代太陽電池は、すでに色素増感が商用化されているが、IoT用途などのためデバイス1個あたりの搭載容量が非常に小さく実績としては僅少。有機薄膜は海外で市場形成されており、ペロブスカイトは商用化に時間がかかるが結晶シリコンでの設置が難しい場所での採用により一定の市場を形成すると期待される。GaAsは車載用としてEV(電気自動車)への導入が期待される。2035年度には太陽光パネル市場の5.7%を占める見込み。

 なお、太陽光パネルの世界市場(年次:1月~12月)は、2021年が2020年比2.1倍の10兆3489億円、2035年が10兆1661億円を見込む。出力ベースでは、2021年が同44.8%増の260.8GW、2035年が同2.7倍の487.3GWと予測する。材料価格や輸送費の高騰による生産コストの上昇を出荷価格に転嫁しきれない企業が多く、各社の利益が大きく圧迫されており業界再編が加速するという。

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