「発電側課金」は2024年度に先送り、2022年度中に結論

第6次エネルギー基本計画では「要否を含めて検討」

2022/01/03 23:03
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
発電側課金の見直し案で、「kW課金」と「kWh課金」を組み合わせた
発電側課金の見直し案で、「kW課金」と「kWh課金」を組み合わせた
(出所:経産省)
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各再エネ電源における見直し前後の負担単価イメージ
各再エネ電源における見直し前後の負担単価イメージ
(出所:経産省)
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 経済産業省は2021年12月24日、有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)開催し、懸案となっている発電側課金(発電側基本料金)に関して、「発電側課金を含めた送配電関連の費用回収にあり方については、2024年度を念頭に検討し、2022年度中をめどに結論を出す」との方向性を示した。

 「発電側課金」は、電力系統の送配電設備の維持・増設に要する原資を得るため、発電設備に課金するもの。現在は、託送料金に含めて電力需要家が支払い、電気料金で必要な原資を集める仕組みになっている。

 これまで検討されてきた電側課金の仕組みでは、原則的に電力系統に連系する発電設備(契約kW)に応じて課金する。電力システム改革の一環で検討され、当初、2023年度の導入が予定されていた。しかし、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、「導入の要否を含めて引き続き検討を進める」とされた。

 第6次エネルギー基本計画で、当初の方針に変更が加えられた背景には、2030年・温室効果ガス46%削減を踏まえて、再エネ導入目標が大幅に引き上げられたことがある。当初、発電側課金の導入に際しては、固定価格買取制度(FIT)で予定されていなかったことから、FIT電源に対する調整措置が議論となった。ところが、再エネ導入目標の大幅な積み増しに伴い、今後、期待されているオフサイト型コーポレートPPA(電力購入契約)モデルによる太陽光発電の新設などにも、影響することが懸念され始めている。

 契約kWに応じて課金する発電側課金の場合、送電量単位(kWh)当たりの負担に換算すると、設備利用率が低い電源の負担が大きくなる。例えば、設備利用率14%の太陽光で1.45円/kWhなのに対し、同26%の風力では0.95円/kWhに減り、同78%のバイオマスでは0.40円/kWhに留まる。

 こうした太陽光や風力に不利という批判に対応し、経産省は、発電側課金の見直し案を公表していた。契約kWに加え、実際に送電する電力量(kWh)も考慮し、kW課金とkWh課金の比率を1対1とした。見直し案では、太陽光の課金額は1.45円/kWhから0.97円/kWhに、風力は0.95円/kWhから0.72円/kWhに軽減されるとした。

 ただ、この変更案が採用されたとしても、今後、エネルギー政策上、主力電源となる太陽光、風力の普及を阻害することへの懸念が大きく、第6次エネルギー基本計画では、「導入の要否を含めて引き続き検討を進める」とされた。

 一方で、もともと発電側課金は、送電系統コストの一般負担と特定負担の見直しとセットだった。従来、電力系統設備のコストは、共通利用の多い部分については「一般負担」として電力需要家の支払う電気料金(託送料金)に含めている。また、共通利用の少ない設備は「特定負担」として、系統接続時の工事費負担金で発電事業者に請求している。

 電力システム改革では、発電側課金の導入と併せ、系統接続時の初期負担(工事費負担金)のあり方を見直した。発電側課金が「kW一律」であることから、系統接続時の初期費用の「一般負担」の上限についても「kW一律」とした。

 太陽光の場合、従来、一般負担の上限は1.5万円/kWだが、これを4.1万円/kWに引き上げることで、接続時の系統工事費用における一般負担の割合が増え、太陽光発電事業者の支払う特定負担分が減るケースが出てくる。太陽光発電事業者については、初期負担が軽減され、発電側課金として稼働後に「分割払い」するようなイメージとされている。

 今回の有識者会議では、こうした様々な背景から、「再エネ目標が大幅増となったなか、太陽光や風力の普及にマイナスとなる発電側課金の導入は慎重に検討すべき」との意見があった一方、「一般負担と特定負担の見直しが先行している中、発電側課金だけが先送りされた場合、系統増強費用の確保に影響が出てくることが懸念される」との意見もあった。