オフィスビル由来の有機廃棄物を燃料化、新宿で実証

2022/01/04 23:31
工藤宗介=技術ライター
実証実験のイメージ
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(出所:6社共同のプレスリリース)
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今後の計画イメージ
今後の計画イメージ
(出所:6社共同のプレスリリース)
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亜臨界水処理装置
亜臨界水処理装置
(出所:東京建物)
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 東京建物など6社は2021年12月20日、オフィスビルから排出・焼却処理される有機性廃棄物を燃料化する実証実験を開始したと発表した。、6社とは、東京建物のほか明治安田生命保険、日本プライムリアルティ投資法人(JPR)、損害保険ジャパン、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、サステイナブルエネルギー開発(仙台市)となる。

 実証実験では、都内にある新宿センタービル(54階建て)に入居する損保ジャパンほか一部のテナント企業の協力のもと、サステイナブルエネルギー開発が開発したISOPシステムを用いて亜臨界水処理を行うことで、有機性廃棄物から固形燃料「バイオ石炭」を生成する。

 亜臨界水処理は、臨界点以下の高温高圧の水が持つ強い加水分解力を活用してプラスチックを含む有機物を低分子化する。同時に、病原菌を持った有機物も滅菌して無害化できる。バイオ石炭は、有機性廃棄物から生成される固形燃料のうち、石炭火力発電所などで石炭の完全代替燃料に用いられることを前提としたもの。エネルギー密度や残留塩素濃度などの点で、既存の石炭火力発電所での利用に問題ないスペックを満たすことが求められる。

 期待される生成エネルギー収支(電力のみを考慮)は、亜臨界水処理で消費される電力量に対して約2.5倍になる見込み。なお、亜臨界水処理に用いる電気は、東電EPが提供する実質再生可能エネルギーにみなされる電気(非化石証書を用いた電力メニュー)を使用する。

 今回設置する亜臨界水処理装置は、想定する実装サイズの約10分の1スケールのもので、高圧ボイラーを必要とせず電気だけで稼働できる。新宿センタービル地下4階の廃棄物処理室の一部に設置し、燃料製造過程における振動・騒音・臭気などのビル内への影響を検証し、将来の本格的な実装を見据えた課題を抽出する。

 亜臨界水処理装置の容量は200Lで、1日あたり440kgの廃棄物を投入して約167kgの亜臨界水処理物を生成できる。電力に換算すると361kWhに相当する。新宿センタービルでは1日1t強の紙ごみ・生ごみが排出されており、装置容量を増加することでさらに多くのごみを処理できるとしている。

 今後、新宿センタービル内で生成された亜臨界水処理物、および亜臨界水処理物から生成したバイオ石炭それぞれが持つ物性について、東電EPとサステイナブルエネルギー開発が連携して分析し、利用方法を検討する。バイオ石炭の火力発電所における代替燃料としての活用可能性の検討、亜臨界水処理物をメタン発酵試験装置に投入してメタンガスの収量・発酵時間・発酵残渣などの分析、ビル内にメタン発酵装置を設置してオンサイトでエネルギー生成する場合の経済性などを評価する。

 東京建物、明治安田生命、JPRは、検討結果をもとに、新宿センタービルや他の保有ビルにおいて有機性廃棄物から生成されたバイオ石炭、またはメタン発酵原料としてバイオ石炭に変換する前段階の亜臨界水処理物をコージェネレー(熱電併給)ションシステムなどの燃料に利用し、電気や蒸気に変換してビルに供給するモデルの展開を検討する計画。