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早生樹から木質バイオマス、周南市の市有林で実証

2022/01/04 23:45
工藤宗介=技術ライター
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周南市の市有林
周南市の市有林
(出所:5社共同リリース)
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 山口県周南市と、出光興産、東ソー、トクヤマ、丸紅の各社は12月15日、「木質バイオマス材利活用及び森林整備等に関する連携協定書」をそれぞれ締結した。協定に基づき、市有林を活用した木質バイオマス材の生産および森林整備などの共同実証事業の実施を検討する。

 周南市では、苛性ソーダを軸とする無機化学と石油精製と連動した有機化学(石油化学)が融合した周南コンビナートを形成し、多種多様な化学製品を生産している。周南コンビナート内で各企業が設置している石炭火力自家発電設備は合計出力152万8900kWの規模(建設中の周南パワー・出力30万kWを含む)で、石炭火力による安価・安定的な電力がコンビナートの強みになっている。

 コンビナートにおけるカーボンニュートラル対応への取り組みとして、出光興産は出力5万kWのバイオマス専焼発電所を2022年度内に、トクヤマ・丸紅・東京センチュリーが出資する周南パワーは出力30万kWのバイオマス混焼発電所を2022年に稼働する予定。また、石炭火力発電所を稼働中の東ソー(出力67万6900kW)とトクヤマ(出力51万7000kW)は、バイオマス混焼率向上を検討している。

 また、周南市の森林面積の割合は78%、植林された人工林率は48%になる。そのうち、主伐期を迎えた植林後46年以上の森林が面積で66%、蓄積で77%に達し、人工林の本格的な利用期を迎えている。その一方で、素材生産量は植林後46年以上の材積の0.3%、造林面積は植林後46年以上の人工林面積の0.2%にとどまっており「伐って、使って、植える」森林の循環利用が進んでいない状況だった。

 こうした地域のバイオマス需要の増加と森林の循環利用の必要性を踏まえ、周南市木質バイオマス材利活用推進協議会を立ち上げ、早生樹による短期間・低コストのバイオマス生産を実証する「緑山バイオマス材生産モデル事業」を検討してきた。これらの取り組みが契機となり、今回の連携協定の締結につながっった。

 緑山バイオマス材生産モデル事業では、早生樹が15~20年で成長する前提で、市有林270haを段階的に早生樹へ移行する。15年サイクルで伐採し、年間18ha相当の再造林を目標とする。2020年度は、6.64haにコウヨウザンなど9900本を植栽した。2021年1月時点での最高樹高は92cm。ウサギなどの食害は0%、生存率は約91%(調査区200m2内、33本中30本)。倒伏は約18%(同33本中6本)だったが、倒れたあとに根元から萌芽があったという。また、2021年度は、12haにコウヨウザンを1万8000本植栽する予定。

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