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「透明太陽電池」実現に期待、京大発ベンチャーに出資

2022/01/18 18:20
工藤宗介=技術ライター
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スズドープ酸化インジウムナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真
スズドープ酸化インジウムナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真
(出所:京都大学)
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 京都大学イノベーションキャピタル(京都iCAP)を無限責任組合員とするイノベーション京都2021投資事業有限責任組合(KYOTO-iCAP2号ファンド)は1月14日、京都大学発のベンチャー企業であるOPTMASS(京都市)に対して、第三者割当増資による約3500万円の新規投資を行ったと発表した。同社の「赤外光のエネルギー変換」を主軸とした先端材料、デバイスの開発・製造技術の将来性を評価した。

 OPTMASSは、京都大学化学研究所の坂本雅典准教授(精密無機合成化学研究分野)の赤外光エネルギー変換に関する研究成果を基に、2021年10月に設立された。坂本准教授らの共同研究グループは、2019年に赤外光を電気や信号に変換できる無色透明な材料の開発に成功した。

 同研究では、赤外域に局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を示す無機ナノ粒子を光捕集材に用いることで、赤外光による電子移動と透明性の両立を目指した。京都大学化学研究所で開発した方法に基づきスズドープ酸化インジウムナノ粒子を合成し、ガラス基板上に成膜することで、可視域の透過率が95%と赤外域に強い吸収を持つ無色透明な材料であることが分かった。

 スズドープ酸化インジウムナノ粒子を電子アクセプターである酸化物担体に担持した後、焼結により酸化物担体との結合を形成した。1700nm波長のレーザーを用いてナノ粒子のLSPRを励起させた結果、特徴的な吸収スペクトルを赤外域に観測することに成功した。吸収スペクトル強度から見積もった電荷注入効率は、特に酸化物担体に酸化スズを用いた場合で33%と大幅な増大が見られれた。

 これらの研究成果は、透明太陽電池や目に見えないセンサーなどの最先端電子デバイスへの応用が可能。例えば、透明太陽電池は住宅や高層ビルへの窓ガラスの設置が可能で、建物のゼロエミッションへの貢献が期待される。

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