ニュース

「微生物燃料電池」、実規模サイズにスケールアップ

2022/01/21 23:38
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
微生物燃料電池による廃水処理プロセス
微生物燃料電池による廃水処理プロセス
(出所:栗田工業)
クリックすると拡大した画像が開きます
実規模サイズにスケールアップした微生物発電セル装置
実規模サイズにスケールアップした微生物発電セル装置
(出所:栗田工業)
クリックすると拡大した画像が開きます

 栗田工業は、工場などの排水に含まれる有機物を電気に変換できる微生物発電セル(素子)の開発を進めている。1月20日、「微生物燃料電池」の実用化に向けて、日清紡ホールディングスと共同で、実規模サイズへのスケールアップに成功したと発表した。

 排水処理では、好気性微生物を利用して排水中の有機物を分解する活性汚泥法が広く用いられている。しかし、同手法は、曝気のための電力消費や大量に発生する余剰汚泥(廃棄物)の処理・処分に伴うCO2排出量が大きく、その削減が課題となっている。

 微生物燃料電池は、発電菌と呼ばれる微生物の働きにより、排水中の有機物を分解処理すると同時に、従来汚泥となっていた有機物を電気に変換できる。創出した電気を用いて廃水処理することが可能となり、CO2排出量を削減できる。一方、廃水処理効率や発電効率、性能の長期安定維持、実規模サイズへのスケールアップなどに課題があった。

 今回、多岐にわたる水処理分野の知見を基に開発を進め、同電池の構成に好適な材質の選定とそれらを組み合わせた装置形状や構造を最適化した。セルサイズ1m×45cmにスケールアップした微生物発電セル装置で、CODCr(CODクロム)除去速度20kg/m3/d、発電量200W/m3という世界最高レベルの性能を達成した。

 同社は、微生物燃料電池を中心とした排水処理の装置構造、運転方法などに関して10件以上の特許を出願しており、実排水への適用評価を開始することで、さらに性能を改善していく。今後、生物燃料電池を組み込んだ排水処理装置を実用化し、数年以内にCO2排出量実質ゼロの排水処理の実現を目指す。

  • 記事ランキング