ニュース

NEDO、浮体式洋上風力のコスト低減へ、18テーマで実証

2022/01/24 23:04
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
「低コスト浮体式洋上風力発電システムの共通要素技術開発」で対象とする要素技術分野
「低コスト浮体式洋上風力発電システムの共通要素技術開発」で対象とする要素技術分野
(出所:12社の共同リリース)
クリックすると拡大した画像が開きます
「低コスト浮体式洋上風力発電システムの共通要素技術開発」の開発体制
「低コスト浮体式洋上風力発電システムの共通要素技術開発」の開発体制
(出所:12社の共同リリース)
クリックすると拡大した画像が開きます

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は1月21日、浮体式を中心とした洋上風力発電のコスト低減によって導入拡大を目指す「洋上風力発電の低コスト化・高度化」プロジェクトに着手すると発表した。グリーンイノベーション基金事業の一環。

 フェーズ1として、「次世代風車」4テーマ、「浮体式基礎製造・設置」6テーマ、「洋上風力関連電気システム」1テーマ、「洋上風力運転保守」7テーマの合計4分野18テーマの要素技術研究開発事業を進めていく。

 洋上風力関連電気システムの採択テーマ「低コスト浮体式洋上風力発電システムの共通要素」では、東京電力リニューアブルパワーを幹事会社とする協議会を設立。浮体式洋上風力発電システムで共通課題となる高電圧ダイナミックケーブル、浮体式洋上変電所・変換所などを対象に、機器本体のコストは設置・運用コストの低減に取り組む。

 参加企業は、東京電力リニューアブルパワー、東北電力、北陸電力、電源開発、中部電力、関西電力、四国電力、九電みらいエナジー、住友電気工業、古河電気工業、東芝エネルギーシステムズ、三菱電機の12社。技術開発メーカーは将来の市場ニーズを見据えた技術開発を行い、電力会社は将来想定する浮体式洋上風力発電に必要な技術の観点で検討・評価する。期間は2022年3月~2025年3月の予定。

 また、洋上風力運転保守高度化事業の採択テーマ「洋上風力運転保守(デジタル技術による予防保全・メンテナンス高度化)」では、洋上風力発電のコストの35%程度を占めるメンテナンスの高度化による低コスト化を目指す。参加企業は、東京電力リニューアブルパワーと東芝エネルギーシステムズ。

 センサーおよびROV(潜水走査型の無人潜水機)の活用による浮体・係留索などの監視・点検技術の高度化、ドローンによる風車外観の遠隔点検、ロボットによるナセル内部の点検の自動化、センシングデータによる洋上風車の健全性分析サービスの開発などに取り組む。期間は2022年度~2023年度の予定。

 このほか、次世代風車では、「風車主軸受の滑り軸受化開発」(大同メタル工業)、「15MW超級増速機ドライブトレインの開発と、コストダウンのための産業集積プロジェクト」(石橋製作所)、「洋上風力発電機用主軸用軸受のコスト競争力アップで軸受ライフサイクルマネジメントを実現」(NTN)、「洋上風車用タワーの高効率生産技術」(駒井ハルテック)。

 浮体式基礎製造・設置の量産化・低コスト化では、「セミサブ型ハイブリッド浮体」(日立造船、鹿島建設)、「浮体式洋上風力発電(TLP浮体)」(三井海洋開発、東洋建設、古河電気工業、JERA)、「浮体式洋上風力発電(セミサブ型浮体)」(ジャパン マリンユナイテッド、日本シップヤード、ケイライン・ウインド・サービス、東亜建設工業)、「浮体式基礎製造・設置(大型スパー浮体)」(東京電力リニューアブルパワー、東京電力ホールディングス)、「15MW級大型風車に対応したハイブリッドスパー浮体」(戸田建設)、「早期社会実装に向けたセミサブ型浮体式基礎製造・設置」(東京ガス)。

 洋上風力運転保守高度化では、「浮体式風車ブレードの革新的点検技術の開発」(関西電力、関電プラント)、「海底ケーブル布設専用船(Cable Laying Vessel:CLV)」(古河電気工業、東京汽船、イーストブリッジリニューアブル)、「風車建設・メンテナンス専用船(Service Operation Vessel:SOV)」(東京汽船、イーストブリッジリニューアブル)、「浮体式風力発電用成長型 O&M Digital Platform」(北拓)、「洋上風力発電用CMSの高度化開発による軸受ライフサイクルマネジメント実現」(NTN)、「Digital Twin・AI技術による生産予防保全技術など」(戸田建設)。

 経済産業省は、政府の掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて、NEDOに総額2兆円の基金を創設した。官民で野心的かつ具体的な目標を共有し、経営課題として取り組む企業などを支援する。研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げ、同事業の一環として同プロジェクトの公募を実施した。プロジェクト予算総額は1195億円、うちフェーズ1は合計345億円。

 また、最速で2023年度以降にはフェーズ2として実証事業を行い、早期のコスト低減を実現することで浮体式を中心とした洋上風力発電の導入拡大を目指す。

  • 記事ランキング