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「系統蓄電池」解禁へ、10MW以上は「発電所」に(page 3)

「太陽光・風力比率」・20%を想定し、エネルギー貯蔵推進へ

2022/01/30 17:59
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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国内でも50MW超える蓄電池が稼働

 国内では、固定価格買取制度(FIT)により太陽光発電所が急増したことを受け、国の全額補助により、北海道の南早来変電所、宮城県の西仙台変電所、福島県の南相馬変電所、福岡県の豊前発電所内に10MWを超える大型蓄電設備が実証事業として配備された。これらは、一般送配電事業者の設備として、系統運用の安定化に活用されている。

 また、系統規模が相対的に小さい北海道や離島では、メガソーラーや大型風力発電所を連系する際に大型蓄電池の設置が条件になっている。北海道八雲町に建設された約100MWのメガソーラーに併設された蓄電池は52MWに達し、国内で稼働済みの蓄電池システムでは最大となっている。こうした再エネ併設蓄電池は、太陽光・風力発電設備の一部として、再エネ発電事業者が所有し、太陽光・風力の出力変動を緩和するように充放電を行い、系統への出力変動負荷を抑制する役割を担っている(図4)(関連記事:八雲町に姿を現した国内最大の「蓄電池併設メガソーラー」)。

図4●約100MWのメガソーラーに併設された52.5MWの蓄電池システム
図4●約100MWのメガソーラーに併設された52.5MWの蓄電池システム
北海道八雲町で稼働しており、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が構築した(出所:日経BP)
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 このほかにも北海道では、募集プロセスにより複数の風力併設蓄電池をまとめる形で南早来変電所内に蓄電池を建設している。また、道北の風力発電所の発電電力を送電する北海道北部風力送電(稚内市)も大型蓄電池を建設中で、これらは送配電事業者が運用を行う。

 一方、英国などで普及し始めている系統用蓄電池は、一般送配電事業者(系統運用者)や再エネ発電事業者の所有ではなく、それら以外の事業者が設置して単独の蓄電池設備として系統連系して運用する。卸電力市場での裁定取引のほか、系統安定化を目的とした需給調整市場やアンシラリー市場など各種市場で収益を上げる。

 日本工営と東芝三菱電機産業システム(TMEIC)など日系企業5社は、英国で合計約100MWの蓄電池を設置してこうした事業に乗り出す(図5)(関連記事:「太陽光・風力の急増で、系統蓄電池によるサービス事業が拡大へ」、日本工営の秋吉副社長に聞く)(関連記事:「系統蓄電池に求められる高速制御、0.5秒の応答性を実現」、TMEICの澤田執行役員に聞く)。

図5●日本工営とTMEICなど日系企業5社が英国で取り組む、系統用蓄電池によるサービス事業のイメージ
図5●日本工営とTMEICなど日系企業5社が英国で取り組む、系統用蓄電池によるサービス事業のイメージ
(出所:日本工営)
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 日本国内でもVRE比率の急上昇が確実なことから、こうした一般送配電事業者向けの系統安定化サービスの必要性が高まる。経産省は今後、民間資金を活用しつつ、市場を介することでコスト効率の高い系統用蓄電池の普及を促す方針で、系統安定化に向けた各種市場の整備を進めるとともに、VRE比率が低く系統用蓄電池の事業性が不十分な間は、設置補助金などの推進策が打たれる可能性が高い。こうした「系統用蓄電池」普及の環境整備が順調に進んだ場合、北海道に建設するメガソーラーや大型風力に課されている蓄電池併設要件を解除することも検討されている。

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