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米加州でRF電池によるマイクログリッド、NEDOと住友電工

2022/02/03 22:30
工藤宗介=技術ライター
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カリフォルニア州に設置したRF電池
カリフォルニア州に設置したRF電池
(出所:住友電工)
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JXPT掛川工場の太陽光発電設備
JXPT掛川工場の太陽光発電設備
(左奥はFIT太陽光)(出所:JX金属)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友電気工業は、米国カリフォルニア州で取り組んできたマイクログリッド構築・運用に関する実証事業を完了した。大型の定置用蓄電池「レドックスフロー電池(RF電池)」を運用し、平常時・非常時の併用運転(マルチユース)に成功した。1月27日に発表した。

 RF電池は、バナジウムなどイオン(活物質)の酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池で、電池反応を行うセル、活物質を含む電解液、電解液を貯蔵するタンク、電解液を循環させるためのポンプと配管から構成される。電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、電解液が不燃であることや常温運転が可能なことから耐火性・安全性が高い。また、充電残量を計測可能、出力(kW)と容量(kWh)を独立に設計できるといった特徴がある。

 NEDOは、2015年9月から住友電工を委託先として、同州サンディエゴにおいてRF電池を活用した実証事業を進めてきた。また、RF電池の充電残量をリアルタイムで計測できる特徴から、2018年12月に現地の系統運用機関と始めた電力取引において、自由度の高い入札パターンを選択できるなど、エネルギー市場(電力量の取引市場)とアンシラリーサービス市場の両方で収益向上に寄与する入札戦略の開発および実証試験を行ってきた。

 さらに、2021年10月からRF電池設備を活用することで実配電網の一部にマイクログリッドを構築し、同州で問題となりつつある自然災害や計画・輪番停電への対策とする追加検証を実施した。停電時を想定し、実配電網で蓄電池を電源として構築・運用されたマイクログリッドは日米において初となる。

 災害時などの停電地区への電力供給を想定し、容量8MWhのRF電池を接続した配電網の一部を商用系統から切り離した上で、RF電池を自立電源としたマイクログリッドを形成し、66軒の需要家に給電した。マイクログリッド内の電力需要や太陽光の出力は常に変動するが、RF電池が需給バランスの維持に必要な電力を充放電することで、配電線の電圧や周波数を安定化することができた。

 系統連系状態からマイクログリッドへ移行する際は、停電状態で蓄電池を起動するブラックスタート移行と、需要家が停電を感じない無瞬断でのシームレス移行のいずれも安定していることを確認した。これにより、平常時は系統運用機関との電力取引で収益を上げながら、災害や計画停電などの非常時にはマイクログリッドの自立電源として電力供給が可能であることを確認した。

 また、RF電池の約4年間の実証運転において、充電状態0~100%のフルレンジで運用を継続しても顕著な容量低下が認められず、設計寿命の20年後も定格容量を確保できる見通しであることを確認した。このほか、システムとしての大きな故障もなく、高い稼働率(99%)で運用を継続できる信頼性の高さを検証した。

 今回の成果は、無電化地域における太陽光・風力発電施設を併設したマイクログリッドの構築や、発電機燃料の輸送コストが高い島しょ地域での再エネによる100%電力供給など、国内外で高い需要が見込まれるとしている。

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