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「超臨界地下資源」を可視化、地熱の出力増加も

2022/03/04 23:33
工藤宗介=技術ライター
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秋田県湯沢地域で観測した電磁探査データ解析により推定された地下比抵抗構造の東西方向断面図(上)、比抵抗構造を基にした同地域の地熱システムの模式図(下)
秋田県湯沢地域で観測した電磁探査データ解析により推定された地下比抵抗構造の東西方向断面図(上)、比抵抗構造を基にした同地域の地熱システムの模式図(下)
(出所:東京工業大学と東北大学の共同リリース)
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 東京工業大学と東北大学の共同研究グループは3月4日、電磁波を利用する地下探査技術を用いて、秋田県湯沢地熱地域の地下深部に広がる超臨界地熱資源(温度374℃以上かつ圧力22MPa以上の地下水)の分布の可視化に成功したと発表した。`

 現在稼働中の地熱発電所は、比較的地表近くに存在する350℃以下の地下熱水を利用するため出力が限られていた。この課題を解決しうる次世代型地熱資源として、高温高圧の超臨界状態にある地下流体(超臨界地熱流体)が注目されている。超臨界地熱流体は、350℃以下の流体よりエネルギーが高く、発電量を大幅に増加できるポテンシャルを持つ。しかし、地下数kmの深部に存在することから、その分布を見定めるのが困難だった。

 共同研究グループは今回、超臨界地熱資源の有望地区である秋田県湯沢地域で電磁探査を行った。電磁探査法は、自然に発生する電磁波を利用し、掘削せずに地下の比抵抗(物質の電気の流れやすさ・流れにくさを示す)情報を取得できる。超臨界地熱流体を含む岩石は、乾燥した岩石に比べて低い比抵抗を示す傾向がある。

 観測データを解析して地下比抵抗構造を推定した結果、地表から2.5~6.0kmの深さに幅3km、長さ5kmの低い比抵抗を示す異常域を発見した。この異常域の上部は、上部掘削データや地質情報などから400℃を超える温度の超臨界地熱貯留層を表していると結論づけた。異常域の下部は、岩石が高温で溶けたマグマを可視化したと考えられる。

 これまでに報告されている超臨界水の比抵抗値を用いて、この超臨界地熱貯留層の含水比を推定したところ、体積比で0.1%から4.2%の間と判明した。この結果は、この超臨界地熱貯留層が大出力の地熱発電を可能とする流体を含むことを示すという。

 また、超臨界地熱貯留層の上部には、シリカ鉱物から構成される遮水層が存在することが実験などから示唆されている。今回の研究地域もシリカ遮水層が存在するとの仮設を立て、シリカの水への溶解度を計算した結果、シリカの水への溶解度が最小になる深度と異常域の上面深度が一致することが分かった。熱水に溶解したシリカが析出して遮水層が生成され、超臨界地熱流体の上部への移動が制限された結果、シリカ遮水層下で超臨界地熱貯留層が発達したと考えられるという。

 湯沢市には日本で4番目の発電量を誇る「山葵沢地熱発電所」が存在しており、今回発見した超臨界地熱資源を用いることで発電量を大幅に増加できる可能性がある。超臨界地熱資源は東北地方のさまざまな火山・地熱域の地下に存在すると推定され、共同研究グループは今後も超臨界地熱資源の発見に取り組んでいく。

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