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電力用リチウムイオン電池、再エネ急増で欧米中が市場牽引

2022/05/19 15:28
工藤宗介=技術ライター
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約52MWの国内最大規模の電力用蓄電池システム。北海道八雲町のメガソーラーに併設
約52MWの国内最大規模の電力用蓄電池システム。北海道八雲町のメガソーラーに併設
東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が構築した (出所:日経BP)
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 富士経済(東京都中央区)が5月16日に発表したリチウムイオン電池の世界市場調査結果によると、ESS(電力貯蔵システム)/UPS(無停電電源装置)/BTS(無線基地)用リチウムイオン電池市場は、2021年は2020年比29.5%増の6027億円の見込み。特に米国、中国、欧州でESSの設置が進んでおり、2025年には同2.4倍の1兆970億円に達すると予測する。

 同市場においてリチウムイオン電池は、競合となる鉛蓄電池と比較すると長寿命で省スペースに優れる。現時点では、UPSやBTS用は鉛蓄電池が主流だが、ESS用では入出力特性に優れるリチウムイオン電池の採用が進んでいる。太陽光や風力など再生可能エネルギー発電の増加により、家庭での発電電力の自家消費、発電事業者による系統安定化など幅広い用途で導入され、市場は米国、中国、欧州での需要が牽引している。

 米国では、カリフォルニア州で新築住宅の太陽光発電の設置が義務化されたことや、同州以外でも発電事業者によるESS設置が義務付けられたことで需要増加が期待される。中国では、BTSでも環境配慮・廃棄の観点から鉛蓄電池からリチウムイオン電池への置き換えが加速している。欧州では、原子力発電所の閉鎖が予定されるドイツで家庭用電気料金が上昇しており家庭用ESSが伸びているほか、英国では家庭で5MW以下のESSを導入すると売電できる制度が2020年に開始され、今後の伸びが期待される。

 日本でも、太陽光・風力発電の急増に伴い、系統用蓄電池によって系統運用を安定化させる必要性が高まっており、経済産業省は、電気事業法を改正して、系統に直接、接続する系統用蓄電池の位置づけを明確にした(関連記事:「系統蓄電池」解禁へ、10MW以上は「発電所」に)。

 そのほかの市場では、蓄電池だけで走る電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HVEV)、燃料電池車(FCEV)などの電動車両(xEV)用は、2021年が同84.2%増の8兆1780億円の見込み、2025年が同2.1倍の9兆3890億円と予測する。電動工具やノートPCなどの小型民生用は、2021年度が同3.4%減の1兆7319億円の見込み、2025年が同2.9%増の1兆8455億円と予測する。

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