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2022年の再エネ導入は300GW台突破、太陽光が6割占める、IEA報告書

2022/05/20 16:37
工藤宗介=技術ライター
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(出所:IEA)
世界の再生可能エネルギー新規導入設備の総出力
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 国際エネルギー機関(IEA)は5月11日、再生可能エネルギー市場報告書「Renewable Energy Market Update - May 2022」を発表した。同報告書によると、2022年における再エネ新規導入設備の総出力は、過去最大だった2021年(294.2GW)と比べて8.4%増の319.0GWとなり、初めて300GWの大台を超えると予測している。

 電源種別では、発電事業用の大規模太陽光発電(Utility-scale PV)が117.5GW、中小規模の分散型太陽光発電(Distributed PV)が71.1GWとなり、再エネの新規導入量全体に占める太陽光発電の割合が2021年の51.4%から59.1%まで拡大する見通し。主に中国とEUの政策環境の後押しにより、特に大規模太陽光の普及が加速しているという。

 2021年に入ってから、多くの原材料の価格と輸送コストが上昇傾向にあり、2022年3月までに太陽電池向けグレードのポリシリコンの価格は4倍以上、鉄鋼は50%、銅は70%、アルミニウムは2倍、運賃は約5倍に上昇している。2020年と比較すると、2022年の新規の電力事業規模の太陽光発電所の投資コストは、全体で15~20%程度上昇すると推定される。

 しかし、化石燃料と電力の価格が高騰しているため、再エネのコスト上昇は競争力を阻害していない。特にEU諸国では、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの卸売電力価格が2016年から2020年の平均と比較して、平均で6倍以上に上昇している。一方、2021年12月に行われたスペインのオークションでは、太陽光発電の価格は15~25%上昇し37米ドル/MWhだったが、これは過去14カ月間のスペイン卸売電力価格の平均値の10分の1に留まる。

 地域別では、中国が148.4GWと世界の再エネ容量の46.5%を占める。そのうち太陽光発電は79.1GWで、政府が掲げる2030年までに太陽光・風力1200GWの目標に向けて順調に推移すると見られる。中国では、2020年に公益事業用太陽光発電、2021年には住宅用太陽光発電のインセンティブが段階的に廃止されるため2020~2021年に複数の導入ラッシュが発生した。今後の年間導入量は微増と予測している。

 EUは41.7GW、うち太陽光発電が26.3GWになる見込み。野心的な政策目標やオークションの迅速な実施、分散型太陽光発電に対する継続的なインセンティブによって拡大が続いている。また、ロシアのウクライナ侵攻に対して、多くのEU諸国はロシアの天然ガス輸入への依存度を下げることを目的に再エネ導入を加速させる計画を発表している。これらの新政策の影響は、特に18カ月以上の開発期間を要する大規模プロジェクトでは2023年までは限定的なものになると考えられる。

 一方、米国は31.8GW、うち太陽光発電が22.0GWとなり、前年より減少する見込み。太陽光発電の分野では、中国に加えて東南アジア諸国に対する太陽光発電貿易措置の可能性があり、短期的には太陽光パネルの入手性が低下し、それに伴い価格も上昇している。米国での現在の太陽光パネル生産量は、前年の年間需要の20%未満しか満たすことができず、ベトナム・インドネシア・カンボジア・マレーシア・中国以外で米国市場に太陽光パネル製品を提供できるメーカーは限られていると指摘する。

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