日揮、福島県浪江町で陸上養殖を実証、太陽光を併設

2022/05/23 19:21
工藤宗介=技術ライター
陸上養殖システム実証プラントのイメージ
陸上養殖システム実証プラントのイメージ
(出所:日揮)
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 日揮ホールディングスの100%子会社で国内EPC(設計・調達・施工)サービス事業を手掛ける日揮(横浜市)は、福島県浪江町で陸上養殖システムの実証事業に取り組む。実証プラントに隣接して太陽光発電設備を設置し、使用電力の一部を賄う予定。5月20日、同事業を推進する新会社「かもめミライ水産」を設立したと発表した。

 導入する陸上養殖システムは、人工的な環境下で魚を養殖する閉鎖循環式で、高度な水処理技術によって水槽内の海水や淡水を循環させながら浄化し再利用することで陸地での養殖を可能にする。場所の制約が少なく、排水処理によって環境負荷を軽減して安定した生産が可能という。その一方、高い生産コストが課題となっている。

 実証事業では、センサーや画像から生産環境を可視化し、収集したデータをAIなどで解析しながら生産支援を行う「統合環境制御システム」を開発する。同システムによる生産の安定化や生産効率の向上でコストを低減する。さらに、陸上養殖分野の知見を持つ水産研究機関や大学、企業と連携しながら、餌や稚魚に関する生産原価の低減、安全性の高い商品の供給も含めたサプライチェーン全体で事業を展開する。

 日揮は、2021年から岡山県内の閉鎖循環式陸上養殖施設で、魚の試験生産による養殖ノウハウの蓄積とシステム開発を進めてきた。この成果を踏まえ新会社は、2022年冬をめどに浪江町で統合環境制御システムを備えた実証プラントの建設に着手する。

 実証プラントでは、まずは生食向けに需要が高まっているサバを対象に2024年から本格生産を開始する。サバ以外の魚種についても、企業や自治体のニーズに合わせて順次、生産する予定。将来的には、地域需要に応じた水産物ブランドの開発も計画する。漁獲された魚を市場に供給する「プロダクトアウト」から、魚種を拡大することで顧客ニーズに合った魚を提供する「マーケットイン」による、新たな水産業の確立も目指す。