丸紅は5月31日、鹿児島県奄美大島においてオンサイト型PPA(電力購入契約)モデルによる蓄電池併設型屋根置き太陽光発電の長期売電事業の実証を開始したと発表した。離島における再生可能エネルギーの主力電源化を目指す。
本土の電力系統に接続されていない離島では、需給調整の容易な火力発電に依存しており、大量のCO2を排出している。また、本土と比べて電力系統規模が小さいため、天候によって発電量が変化する再エネは島内系統の需給バランスが不安定になりやすいという課題がある。
実証では、奄美大島内の施設や駐車場の屋根などに施設所有者の初期費用負担なしで太陽光発電システムを導入し、発電した電力をPPAに基づきそれぞれの施設へ売電する。また、蓄電池を遠隔制御して電力系統で電力が足りないときに放電する需給調整機能についても事業性の検証・評価を行う。
太陽光パネルは、戸建住宅4件に1件あたり約7~9kW、事業所2件に1件あたり約20kWの合計約70kWを設置し、年間発電量は約80MWhを見込んでいる。蓄電池の容量は6件合計で約60kWh。数カ月間の実証後、長期のPPAを締結するか判断する。契約期間は15年を想定する。
事業の推進にあたり丸紅は、沖縄県の離島各地で類似の売電事業を行うネクステムズ(沖縄県浦添市)や、奄美大島内で再エネ開発を行う竹山産業開発(鹿児島県奄美市)と協業関係を構築しており、事業化に向けて今後も協議していく。