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スイスで「バイオメタネーション」、再エネ水素と下水ガスからメタン生成

2022/06/06 21:32
工藤宗介=技術ライター
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産業用PtGプラント
産業用PtGプラント
(出所:日立造船)
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 日立造船は5月25日、グループ会社が下水処理排ガスと水素による「バイオメタネーション」の設備をスイスに建設したと発表した。

 日立造船100%子会社のスイスHitachi Zosen Inova(HZI)の子会社でバイオガス事業を展開する独Hitachi Zosen Inova Schmack(HZI Schmack)が、バイオメタネーションの産業用Power to Gas(PtG)プラントを建設した。建設した場所は、スイス電力会社Regiowerk Limeco(Limeco)がチューリッヒに所有する施設内になる。

 スイスで初のバイオメタネーション事業となり、Limecoがスイス国内のエネルギー供給会社8社、自治体と電力会社で構成される公益事業同盟のSwiss Powerと共同で推進してきた。HZI Schmackは、プラントの建設およびバイオメタネーションの技術を供与した。

 Limecoが所有するごみ処理施設で発電された電力を用いて水を電気分解して水素を取り出し、既設の廃水処理施設から排出される下水ガスをバイオリアクターに供給する。バイオリアクター内にいる微生物の生物反応によって、嫌気条件下で水素と下水ガスに含まれるCO2がメタンに変換される仕組み。

 精製されたメタンは、地域のガス供給網へ供給される。メタン生成量は年間1万8000MWh、CO2削減量は一般家庭約2000世帯分に相当する年間4000~5000tを見込んでいる。

 スイス政府は、長期エネルギー計画「エネルギー戦略2050」を策定し、原子力発電を太陽光・水力・風力発電などの再生可能エネルギーに転換する方針を示している。一方、再エネの発電量は季節や時間で大きく変動するため、余剰電力をガスに変換して貯蔵・輸送できるPtG技術の商業レベルでの実用化と本格活用を目指している。

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