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シャープ、フレキシブルな太陽電池で世界最高効率

2022/06/08 01:29
工藤宗介=技術ライター
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変換効率32.65%を達成した軽量・フレキシブルな太陽電池モジュール
変換効率32.65%を達成した軽量・フレキシブルな太陽電池モジュール
(出所:シャープ)
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 シャープは6月6日、実用サイズの軽量・フレキシブルな太陽電池モジュール(太陽光パネル)で世界最高となる変換効率32.65%を達成したと発表した。曲面形状に適合し、高効率化と軽量化が求められる電気自動車や宇宙・航空分野などの移動体への搭載が期待される。

 今回試作した化合物3接合型太陽電池セル(発電素子)は、インジウム、ガリウム、ヒ素をボトム層とする3つの光吸収層を積み上げた構造で、各層で異なる波長の光を吸収することで高い変換効率を得られるのが特徴。今回、これまでの2枚のガラスで太陽電池セルを挟む構造から、薄いフィルムで挟む構造に変更することで、軽量・フレキシブルなモジュールを実現した。モジュールのサイズは約29cm×約34cm(面積965cm2)、重量は約56g(0.58kg/m2)、最大出力は31.51W。

 同社は、2000年から宇宙用として化合物3接合型太陽電池の研究開発を開始した。2001年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の認定を取得し、2005年打ち上げの小型科学衛星「れいめい」、2009年打ち上げの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」、2012年打ち上げの宇宙ステーション補給機「こうのとり3号」に搭載された。

 2013年に小サイズ(面積1.047cm2)で変換効率37.9%を、2016年には実用可能なサイズ(面積27.86cm2)の太陽電池セルを用いたモジュール(面積968cm2)を作製し、当時の世界最高変換効率31.17%を達成した。今回、セルの平均変換効率の向上(約34.5%から約36%)とモジュール内のセル充填率を改善し、モジュール変換効率32.65%を実現した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2020~2022年度(最長2024年度)「移動体用太陽電池の研究開発プロジェクト」における成果となる。今後も、2050年に広く移動体に搭載されることを目指して、引き続きモジュールの高効率化や低コスト化に向けた研究開発を進めていく。

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