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新電力の経営が悪化、35社が撤退・廃業・倒産

2022/06/14 20:02
工藤宗介=技術ライター
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新電力会社の事業撤退動向
新電力会社の事業撤退動向
(出所:帝国データバンク)
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電力調達価格と販売価格の推移
電力調達価格と販売価格の推移
(出所:帝国データバンク)
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 帝国データバンクが6月13日に発表した動向調査によると、2021年までに登録のあった新電力会社(登録小売電気事業者)のうち、6月8日時点で1割超の104社が倒産や廃業、電力事業の契約停止・撤退したことが分かった。3月末時点では31社だったのが、2カ月間で3倍超に急増した。

 最も多かったのは、新規申し込み停止を含む「契約停止」が69社で、3月末の14社から約5倍に急増した。電力事業からの「撤退」は16社で、同3社から5倍超の増加。「倒産・廃業」は19社で、3月末以降に4社が新たに倒産・廃業した。

 帝国データバンクが5月に行った調査では、新電力を利用する企業の7割が「同じ新電力を引き続き利用する」と回答している。その一方、経済産業省によると、新電力の倒産や撤退などにより契約の継続が難しくなり、大手電力会社などから供給を受ける「電力難民」企業が、5月に入って1万3045件発生した。3月は5477件、4月は5133件発生したが、5月は1万件を大きく超えている。

 新電力会社の多くは、自前の発電所を持たず大手電力会社や市場から電力を調達することで発送配電コストを圧縮し、割安な料金設定とすることで顧客を囲い込んできた。しかし、ウクライナ危機を受けた原油・液化天然ガス(LNG)の価格高騰も重なり、火力発電に頼る日本国内の電力需要が逼迫。今冬シーズン以降は電力調達コストが高止まりした状態が続き、新電力各社の経営を圧迫している。

 日本卸売取引所(JEPX)のデータによると、2022年5月のシステムプライス平均は17円/kWhで、2022年3月の26円/kWhからは下がったものの、前年同月より2倍以上の高い水準で推移している。一方、電力・ガス取引監視等委員会のデータから帝国データバンクが推計した2月の新電力における電力販売価格平均は供給1MWhあたり約2万900円と、前年同月の約1万6500円を上回り、2021年9月以降6カ月連続で増加している。

 しかし、ほとんどの月ではコスト上昇分を吸収できておらず、1MWhあたり販売利益(電力販売価格-電力調達価格)は、2022年2月は295円と前年同月の9013円から97%減と急減した。暖房需要などで電力需要が増した1月には1784円の赤字となり、調達価格が販売価格を上回る「逆ザヤ」状態になった。家庭より安価に設定されている事業者向け特高・高圧分野では、すでに逆ザヤが常態化しているとされる。

 電力調達価格の高騰で利益確保が困難になった新電力の相次ぐ撤退や倒産は利用者にも大きな影響を及ぼしており、発電設備を持たない売電事業の限界が露呈したと指摘している。「割安な時期に参入し、高騰時に撤退するのは無責任」といった不満も聞かれるが、新電力の撤退や倒産が今後さらに加速する可能性もあるという。

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